そんなおり、新聞の折込みチラシで、某社のメール便配達の求人を発見、さっそく応募することにした。うまく採用となり、私は週1日のメール便の配達業務の仕事を翌週から始めることにした。
さてその仕事内容だが−−。
前日の夕方、翌日配達分のメール便を自宅から集配センターまで受け取りに行く。私の場合、その往復の所要時間は約1時間だった。
メール便の配達数は、私が住んでいるのが地方ということもあるのだろうが、それほど多くはなく1日50通ほどだった。
集配センターに行くと、箱に私の配達するメール便が無造作に入れられている。それを家に持ち帰り、まず担当地域ごとに分ける。それを更に、住所で分け、住所の若い順に置いて行く。
次に住宅地図を用意して、配達住所ごとにマーキングしていく。そして、配達順に箱に戻すのである。この際掛かった時間は約1時間ほどだった。
そして、翌日再び集配センターまで行き、社員がメール便配達者の携帯型バーコード読み取り機のロックを解除して、はじめて配達できるようになるのであった。
そして配達開始となったのだが、田舎では表札のない農家も多く、予想外の困難を極めた。どうしても分からないため社員に携帯電話で問い合わせ、支持を仰ぐことも何度もあった。
午前8時半に開始して、全ての作業が終わったのは午前11時半。50通のメール便を配達するのに、約3時間掛かったのだった…。
センターまでメール便を受け取りに行く所要時間や、仕分けの時間を入れると、全ての工程に掛かった時間を計算したら約5時間だった。
そしてその日の報酬だが−−。
メール便配達は時給制ではなく、完全委託制となる。私の地域はメール便1通の配達につき、報酬は22円。即ち、1日5時間の作業での受取額は、僅か1,100円。時給にすると1時間220円!
しかも配達に使用する、マイカーのガソリン代も自己負担…。
結局、私は僅か3か月でリタイアした。私にとっては半分ボランティア的な要素が強いと思われたこのメール便配達の仕事。
しかし、社会との関わりを保とうとしてこの仕事を続けている定年後の老人男性が多いのも実情である。
(藤原真 山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou