中日・谷繁元信捕手が「1000万円アップ」の1億7000万円(推定)で契約を更改した(11月24日)。同日は、優勝の立役者とも言える和田一浩外野手(38)の更改も行われたため、マスメディアの露出度では『主役の座』を譲ったが、来シーズン、谷繁への注目度はさらに高まりそうである。
「今年7月(28日)、捕手としては野村克也氏以来となる『2500試合出場』を果たしました(史上8人目)。今季前半戦は不振でスタメンマスクを譲る試合もありましたが、中日は谷繁に代わり得る正捕手候補を補強していません。細川亨(ソフトバンク移籍)、藤井彰人(阪神移籍)とFA市場には働き盛りの捕手がいて、トライアウトでは若い荒川雄太(西武移籍)もいたのに、中日は見向きもしませんでした。『来季も正捕手は谷繁』と判断しているんでしょう」(ライバル球団職員)
谷繁は40歳で来シーズンを迎える(23年目)が、『気力』が衰えないのは“異例の記録達成”が掛かっているからだという。
「今シーズンを終えた時点での通算安打数は1810本。順調に行けば、再来年の早い時期には名球会入りです」(関係者)
捕手というポジションの過酷さは説明するまでもない。『通算2000本安打』を達成させた捕手はほかにもいるが、谷繁の場合は野村、古田敦也両氏とは違う道程が評価されることになるだろう。
名球会入りを果たした往年のスタープレーヤーの大多数は、クリーンアップを任されてきた。1試合で打席数が多くまわってくる1、2番タイプも少なくない。
しかし、谷繁の打順は主に『下位』だ。今年は8番で出場する試合も多かった。つまり、谷繁は『守備の人』とも言える。下位の打順で2000本安打のバットマン記録に到達すれば、「いかに守備でチームに長く貢献してきたか」が証明される。
「09年後半かな、本人も名球会を意識しているような言動も見受けられました」(前出・同)
今季のペナントレース序盤(4月2日/対阪神戦)、谷繁は3回で交代させられた。
「今までの谷繁なら調子の悪い投手も何とかしてくれたが、今はそれが出来ていない」
田村藤夫バッテリーコーチ(51)の試合後の談話が残っていた(共同通信等を参考)。
同日時点での谷繁の打撃成績は1割3分台。谷繁と交代でマスクを被った小山桂司(30)が健闘していただけに、ファンも心配した時期である。そこから這い上がってきた気力は「さすが!」としか言いようがない。
「おそらく、球団は来季2年目となる吉田(利一=23)を育てるつもりなんでしょう。育成枠の赤田(龍一郎=22)も評判がいいです。とはいえ、捕手は一人前になるまで時間が掛かるし、来季も谷繁をメインで使わざるを得ません。まあ、出場試合数は減るかもしれないが」(同)
契約更改前、谷繁は減給も覚悟していたという。だが、球団側から昇給が提示された。微増とはいえ、ベテランのプライドは満たされ、中日もそれを応援しているというわけだ。2000本安打達成の際、8番を打っていたとなれば、「サプライズ」になる。
案外、谷繁の“異例記録”の達成は早いかもしれない。