粗品はコンビとして昨年度の『M-1グランプリ2018』(テレビ朝日系)で優勝し、今年に入ってピンとして『R-1ぐらんぷり2019』(フジテレビ系)でも優勝し、史上初の2大会制覇を成し遂げた。『M-1』の優勝賞金は1000万円、『R-1』は500万円である。ここ数か月でかなりの大金を手にしたことになるが、それらをギャンブルに賭けようとしているのだ。
粗品のギャンブル好きは有名で、競馬へ大金をつぎ込むことはもちろん、パチンコ店にも日常的に通っている。休日の移動時は、常にイヤホンに耳を挟み競馬中継を聞いていると、相方のせいやにバラエティ番組で暴露されている。
芸人の中には、「運試し」のためにギャンブルにハマる人間が多いが、粗品はその中でも筋金入りである。何より彼の芸人人生がギャンブラー気質を反映しているともいえるだろう。
粗品は高校生版『M-1』といえる「ハイスクールマンザイ」で高校在学中に頭角を現す。この時の相方は同級生で、せいやは別のコンビで出場していた。同志社大学入学後の大学1年時に、吉本興業のオーディションに受かりプロ芸人の道へ。
この時に「退路を断つ」ため大学を中退している。休学や、しばらく様子を見るといったことはしていない。まさにギャンブル的だ。 粗品はピン芸人として頭角を現す。この時点で『R-1』優勝ネタのフリップ芸は完成されていたという。ピン芸人として十分な将来性がありながらコンビ結成へ乗り出す。相方として選んだのが『ハイスクールマンザイ』で目立っていたせいやだった。この時点で、自身が短いツッコみを入れ、せいやが舞台上を動き回る漫才を考案していたようだ。「こいつが一番おもろいので、こいつと組んだらもっと面白くなる」が思いがあった。これはもちろん失敗のリスクもある賭けであるが、粗品は見事に成功を手に入れた。
こうして見ると粗品は、人生の要所要所で、より高みへ向かうため「新たな可能性に賭ける」挑戦をしているとわかる。芸人人生そのものがギャンブルなのだろう。4月からの東京進出もその一つといえる。何より、大勝負に打って出る3月31日の大阪杯の結果にも期待したいところだ。