▽15日 東京・大田区総合体育館 観衆2,500人
ザ・デストロイヤーさんの追悼興行『ザ・デストロイヤー メモリアル・ナイト〜白覆面の魔王よ永遠に〜』のメインイベントで、令和初のプロレスオールスター戦にふさわしい豪華な6人タッグマッチが実現した。
全日本プロレスの三冠ヘビー級王者の宮原健斗が、WRESTLE-1の武藤敬司、新日本プロレスの獣神サンダー・ライガーと一夜限りのトリオを結成した。対戦相手は、新日本プロレスでロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンとして活躍しているSANADA&BUSHIと、フリーのKAI。3人は、武藤が全日本の社長時代に入団した同期トリオ。BUSHIは全日本時代に新日本へ。SANADAとKAIは武藤が旗揚げしたW-1に移籍し、エース争いを繰り広げたが、後に2人とも退団している。
武藤に「俺らが知らないタイプのレスラー」と言わしめた宮原は、最初に入場すると“健斗”コールをあおった。今年2月に開催されたジャイアント馬場没後20年追善興行で、棚橋弘至とタッグで対戦したときと同様に「食われてたまるものか」という気迫を感じた。注目されたSANADAとの対決は、お互いに触れた程度。それでも宮原にとっては爪痕を残しておけば「何が起こるか分からない」という気持ちがある。この2人の短い攻防には目を見張るものがあった。続きを期待してしまうのは当然の流れだろう。
試合は武藤がKAIに、ライガーがBUSHIに、そして宮原がSANADAに、デストロイヤーさんに捧げる足4の字固めを決め、試合の権利があった武藤が弟子のKAIから一本取った。同期トリオは最後までロスインゴの2人とKAIの溝が埋まらず、チームとして機能しなかった。武藤とライガーは締めを宮原に譲り、先に控室へ。宮原は「デストロイヤーさん、最高!」と叫び、三冠ヘビー級王者として全日本色の強いメモリアル大会をしっかりと締めてみせた。
インタビューブースではSANADAについて、「デビュー戦以来くらいの、11、2年ぶりに当たったんで。まあ多少触れたのみですけど、デビューしてからこういう形で会うっていうのは想像してなかったし、何が起こるか分からないのがこの世界なので、絶対はないですね」と、いつかまた再会する日を楽しみにしている様子だった。
棚橋、SANADAと、接することがないと思われた選手たちと、今年2度も三冠ヘビー級王者として対戦できたのは、プロレス大賞を狙う宮原にとって大きな収穫。今後もまだ触れたことがない選手との闘いもこなして、さらに成長していくはずだ。
(どら増田 / 写真・萩原孝弘)