彼・彼女たちが、人気絶頂期はもちろん、卒業や引退、結婚や離婚、そして人気低迷期も「いまだにファン」でいられたのは、なぜか。その理由を深掘りすると、芸能人の存在によって艱難辛苦を乗り越えられた感動エピソードがあふれ出る、というオチだ。
芸能人のラインナップは、実に明快だ。元おニャン子クラブ、元女子プロレスラー、元チェッカーズ、元モーニング娘。、元C-C-B、元SDN48、元ももいろクローバZほか。時代の寵児がズラリと並ぶだけに、ファン歴30年以上の筋金入りがわんさか並ぶ。
最強素人を相手にしても、プロの仕事をまっとうするのが指原だ。“すじがね”さん、芸能人の実話を聞いて、大粒の涙をポロポロこぼすことによって、画面にメリハリをつけて美しく仕上げ、潤沢な撮れ髙を得る。さすが、デキるオンナだ。
11月6日の深夜に放映されたのは、『いまだにファンです!』時代に続いて2度目となった長与千種。80年代にライオネス飛鳥と組んだクラッシュ・ギャルズで女子プロレスブームを巻き起こし、“つよかわ”アイドルの急先鋒となった。2度の引退を経た現在は、女子プロ団体「Marvelous」の代表を務めるかたわら、限定マッチに出場する現役選手でもある。今回は、かつての宿敵ヒール軍団「極悪同盟」率いるダンプ松本とタッグで出演。しかも、同番組シリーズ初となる2週連続のロング企画だ。
ダンプは、父の借金、浮気、DVで苦しみ続けた母を守るために、女子プロレスラーになった。しかし、いっこうに芽が出なかったため、20代突入と同時にヒールに転向。稼いで、母をラクさせようと思った。そのとき、日本一の悪役になる決意を母への手紙にしたためた。「嫌な思いをさせる」ことを前提に、事前に謝罪したのだ。
社会現象と呼ばれる女子プロ黄金期を迎えると、連日、埼玉県内の一軒家に悪質なファンが押し寄せて、嫌がらせをした。一方では、親しかった近所の人たちがサイン色紙を母に預けた。ダンプは、その人たちを前にして、「家まで来んじゃねぇよ、バカ野郎!」と大声で怒鳴り散らすことで、悪役を徹底的に貫いた。年老いた母はその色紙を1枚ずつ拾い上げ、後日、一升瓶と色紙を持って1軒1軒、謝りに周ったという。指原の涙腺は完全崩壊だ。
11月13日深夜OAは、後半戦。伝説の敗者髪切りデスマッチ(85年8月28日、大阪城ホール大会)や、88年のダンプのラストマッチ映像が解禁される。指原はまだ爪痕を残す。鈴木おさむの狙いは、しっかりバズっている。
(伊藤由華)