やはりガケっぷちの男は強かった!?
場所前のけいこ総見では東の横綱白鵬に1勝6敗と大きく負け越すなど、調整不足を露呈していた朝青龍。それでも「3度目(の途中休場)はない」と不退転の決意で出場すると、あれよあれよと勝ち星を重ねていった。
今や進退問題などどこ吹く風。優勝候補の筆頭に躍り出て横綱としての面目を保っている。昨年3月の春場所以来5場所ぶり23度目の優勝も見えてきたが、この大活躍を誰が予測できただろうか。
ところが、朝青龍の復活劇を信じていた男がいた。“オリンピックおじさん”こと山田直稔氏だ。
山田氏といえば、40年以上相撲を観戦し続け、大相撲振興応援団長も務める。今場所も金のシルクハット、金のメガネ、金の扇子、日本代表ジャンパーという“正装”で連日、両国国技館で声援を飛ばしている。
大の相撲好きの山田氏と朝青龍の関係は十両時代までさかのぼる。けいこ場を視察に訪れ、食事したこともある。日本とモンゴルの親善友好記念切手で“共演”を果たすなど親交は深い。
そんな9年来の友人は、「白鵬は理にかなっている。朝青龍は粘りっていうか、根性だね」と今場所の両横綱を分析している。
朝青龍の連勝については「マスコミに言われれば言われるほど反発する。やってやろうって力を出す男」と反骨心があるとみる。
「とにかく下積み時代から鍛えていた人だった。倒されても倒されても向かっていった。人の3倍も4倍もけいこしていたよ。あんなにけいこをする人は見たことない。水平にふっ飛ばされても(受身で)手をつかなかったんだから」(山田氏)。若手時代のけいこ量が現在の強さの源であると指摘する。強さの秘密はそれだけではない。本紙だけにそっと耳打ちする。
「顔を見ると分かる。横綱になって2場所目くらいかな、仕切りの一番最後、塩をとりにいくとき表情をグッとやるのは、なんでって聞いたことがあるの。そうしたら『(取組の)相手が母親をいじめてる奴だと思うようにしている』って言ってたよ」。相手を「親の敵」に見立てて闘争心を駆り立てているのだ。
さらに山田氏は朝青龍の顔の表情で、その日の調子が分かるというのだ。今場所は「だんだん(絶好時の)表情が戻ってきた。大丈夫。まだまだ何回も優勝すると思うよ」と太鼓判を押す。
朝青龍復活Vのカギは、“顔力”が握っている?