「山口は肝臓の療養のため入院していました。会見ではアルコール依存症ではないと述べていましたが、ほぼ飲酒が原因と見られます。退院した日に飲み、女性を自宅に呼んで事件は起きたようです。これは、アルコール依存症では再飲酒を意味する『スリップ』と呼ばれる行為で、もっともやっかいなものです。アルコール依存に陥った人間は、一滴でも飲めば止めどなく飲んでしまうため、一生禁酒する必要があります。しかし、街を歩いているうちに酒場の誘惑に負けてしまう、付き合いで飲んでしまう、隠れて飲むといった行為があとを絶ちません」(アルコール依存に詳しいフリーライター)
禁酒には強い意志が必要となる。その苦しさを共有する自助グループもあるほどだ。山口も会見で「自分の甘さが招いたことだと思います」と述べていたが、自らの意志だけでどうこうできない問題でもある。
「アルコール依存が重度の場合は抗酒薬が用いられます。少量でもアルコールを口にすると、動悸や発汗が激しくなり苦しくなり、酒を飲みたくなくなるようにする薬です。退院した当日に焼酎1本ほどを飲んでいたといいますから、まだ薬は処方されていなかったのでしょう。近年は完全禁酒だけではなく、お酒の量を減らしていく減酒治療も行われています。今後の山口には専門家をまじえたしっかりとしたバックアップ体制が必要だといえるでしょう」(前出・同)
中島らも『今夜、すべてのバーで』(講談社文庫)、吾妻ひでお『失踪日記2:アル中病棟』(イースト・プレス)、小田嶋隆『上を向いてアルコール「元アル中」コラムニストの告白』(ミシマ社)などアルコール依存をテーマとする本は多く出ている。これらを読むと、酒を飲む人間は誰もがアル中となる危険性を秘めているとわかる。
会見では、「今は絶対飲まないと決めて、今後どうやっていくか考えていかないといけないと思います」と述べた山口。ただ、言葉だけではどうにも言える。今は、自分の弱さを自覚しながら、徐々に信頼を回復してくしかないだろう。