『天国からのエール』は、沖縄県にある音楽スタジオ「あじさい音楽村」創設者の故仲宗根陽(なかそね・ひかる)さんをモデルにした映画。「あじさい音楽村」出身のステレオポニーは仲宗根さんを「ニイニイ」の愛称で慕い、阿部は生前の仲宗根さんから主演を熱望されたという。10月1日から全国公開。
この日は、試写会に先立ち、ステレオポニーが楽曲『泪のムコウ』と、同日発売の同映画主題歌『ありがとう』を演奏。シークレットゲストとして阿部が登場すると、約100名がつめかけた会場から歓声と拍手が沸き起こった。
「あじさい音楽村」は当初、仲宗根さんが県立本部(もとぶ)高校裏に開業した弁当屋「あじさい弁当」の地下に作られたというが、マイクを持った阿部は、オール沖縄ロケの際、プレッシャーを感じていたことを明かした。阿部は、現地に到着したとき、「奥さんや若者たちの中に仲宗根さんがありありと生きている」ことを感じ、「仲宗根さんがいつもどこかで見守っているのではないか」という気がしたエピソードを紹介。その中で、役を演じることにプレッシャーを感じ、「仲宗根さんが見たであろう風景、いたであろう厨房の中などにずっといて、彼が何を考えてここにいたのだろう」と自問自答したことを語った。
AIMIは、仲宗根さんの思い出を「バンドにとっても、私個人にとっても父親のような存在です。ステレオポニーが生まれたきっかけはニイニイがつくってくれて、ステレオポニーを育ててくれた、かけがえのない存在です」と語った。「あじさい音楽村」については、「お弁当屋さんに集まる高校生たちが音楽をする場所がない、夢を追いかけることができないということで、ニイニイが『じゃあ、手作りで、みんなで建てようよ』と声を掛けてできた」ことを紹介した。仲宗根さんへのメッセージソングでもある『ありがとう』を生み出すまでに苦しみもあったというが、「『ありがとう』を歌うときはいつもニイニイが聞いていると思って歌っています」と胸の内を明かした。
SHIHOは、仲宗根さんを演じた阿部をスクリーンで見たときに、「まっすぐな目がニイニイと同じだな」と感じ、「スクリーンを通してニイニイを思い出すことができました」と感想を語った。
NOHANAは、「映画になっている場所は、ほんとうに私たちが出会った場所であり、練習していた場所であり、通っていた高校です。そういう場所があることや、ニイニイのことをたくさんの人に知ってもらえたらうれしいなと思います」と映画へ込めた思いを口にした。
阿部は、「仲宗根さんは『夢をあきらめるな』と言っていた人」「夢はすごく遠いようで、手が届かない、どうやってたどり着いたらいいのかわからない人ってたくさんいると思いますが、日々そこを信じて、ひとつひとつ、わからないうちでもいいか向かっていくと、必ず手の届く所に、いつか現れると僕は思っています」と告げ、映画を見て、可能性やあきらめない心などを少しでも感じてほしいと語った。(竹内みちまろ)