2017年に全国の警察が摘発した覚醒剤の密輸事件は、前年の約1.5倍に当たる126件だった。元厚労省部長の瀬戸氏は近年、密輸組織の多国籍化が進んでいると明かした。
以前は主に中国人や北朝鮮人が覚醒剤の密輸に関わっていることが多かったそう。だが、ここ5年間の調査によると、日本への密輸人は57の国・地域に広がっている。国が違えば密輸の手口も異なるようで、瀬戸氏は「複雑化、多様化、巧妙化が顕著」と、覚醒剤の密輸が難しくなってきている現状があると口にした。
また、日本への覚醒剤の密輸が増えている背景として、瀬戸氏は日本の末端価格が高いと明かす。「国連の調査では、1グラムにつき約6万円(581ドル)とされているが、場合によっては9万円、10万円に跳ね上がる」と、日本では覚醒剤が高く売れると指摘した。韓国は1グラム約300ドル、ドイツでは1グラム約100ドルで、日本の覚醒剤の価格は明らかに高いのだ。
「なぜ日本だとこれだけ高値で取引されているのか?」と質問を受けると「そもそも昭和40年代に、第2次覚醒剤乱用期があった。(そのときから)暴力団が関与しており、現在まで(価格が)管理されている」と暴力団が取引価格を高く設定し続けていことが要因だと説明した。
ネット上では「覚醒剤の密輸は死刑にしろ」「暴力団をつぶすことが先」「もっと外国人の入国チェックを厳しくした方がいい」などと指摘する人が多かった。
密輸の手段は日々進化していく。密輸をなくすことは非常に難しいが、犯罪組織と警察の「イタチごっこ」に終止符が打たれることを期待したい。