キャリアの浅い2歳牝馬戦。不確定要素が多く、決して楽な戦いではない。それは重々承知しつつも、オディールの橋口師からは自信の言葉があふれ出てきた。
「長年、調教師をやってきて2歳戦で痛感するのは、一戦ごとにガラッと変わる馬がいる。油断はできないけど、実績ではウチのが一番。それは万人が認めている。体調にまったく不安はないし、自分の力さえ出せれば最後の追い比べで上位争いに加わってくる」とまで言い切った。
自信の源になっているのは前走・ファンタジーSの強さだろう。暴走気味に飛ばしたエイムアットビップをゴール前できっちり捕らえたセンス抜群の走り。前々走で失敗したスタートもきっちり決めて好位から流れに乗る学習能力の高さも見せつけ、アンカツ(安藤勝騎手)に「残り1Fで勝った」と言わしめた。
そのあたりは気性の難しかった母キュンティアにはなかった長所だという。「母は気性が強く扱いにくかったけど、この馬はまったく手がかからない」人間の教えを忠実に守り、力を伸ばしてきた。このレースで2着だった母の無念を晴らす態勢は整っている。
そして、オディールに競馬を教える先生はアンカツだ。橋口師は「頼もしいジョッキーに乗ってもらえるのが強み」と今年GI6勝の名手に全権委任するつもりでいる。
「アンカツさんが中央で初めて重賞を勝ったのがウチのロサードだった。今度はぜひ、GIをもう一度」
橋口師と安藤勝のコンビで目指すのは、2003年の菊花賞(ザッツザプレンティ)、2004年の安田記念(ツルマルボーイ)以来、3度目のGI制覇だ。