大相撲は八百長問題発覚後、両国国技館でも地方場所でも閑古鳥が鳴き続けている。大阪は昨年の件があるだけに、風あたりも厳しい。そんななか、春場所の担当部長を務めている貴乃花親方(39=元横綱)が、PR活動になりふり構わない姿勢で臨んでいる。
3月6日、大阪・万博競技場で行われたサッカー「アジア・チャンピオンズ・リーグ」ガンバ大阪vs浦項(韓国)の試合前には、来場客にちゃんこ500食を無料で振る舞い、春場所の宣伝に努めた。貴乃花親方は「何人かの方が『相撲にも行きます』と言ってくれた」と満足げだった。
さる2月9日には大阪市役所を訪れ、橋下徹市長に春場所開催を猛アピール。橋下市長の口からは、「かつての大横綱が、これだけ頑張っている。うちも見習ってほしいのだが…」という言葉を引き出した。
吉本興業ともタイアップして、強力タッグを結成。2月25日には吉本新喜劇に出演し、池乃めだからと共演し、ズッコケまで披露。春場所の宣伝にも余念がなかった。3月4日には大御所・桂三枝の「最後の三枝まつり」にも登場し、トークショーを行って、春場所をPR。吉本とは春場所と吉本新喜劇とのコラボチケット7500円相当を7000円で割引販売するなど、関係は良好だ。
天下の大横綱がプライドをかなぐり捨てて頭を下げまくった結果、貴乃花親方は約450升のチケットを売った。チケット担当の中川親方(元幕内・旭里)は「2年前よりも倍ぐらい売れています。土日はほぼ完売で、後半戦も一昨年以上。やはり貴乃花部長の影響力と営業力は凄い」と評価。
それでも、貴乃花親方は「物足りない気持ちでやっている。15日間満員御礼のために、まだまだこれから」と話し、残された期間で引き続き営業活動を行っていく所存だ。剣が峰に立たされている大相撲。春場所でどれだけ巻き返しを図れるか、注目が集まる。
(落合一郎)