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キャバクラ小説家yanagiが語るネオン街ライフ 〜キャバクラ今昔物語・その20〜 小説に書いたキャバ嬢の思い出・ジュン編

 すっかり秋の気配が漂ってきました。一応は「作家」を名乗っていますので、何回かに分けて「小説に書いたキャバクラ嬢の思い出」をご紹介していきたいと思います。※お店、源氏名は個人が特定されない程度に変えます。

 ジュンは、私が悪友たちにはじめてキャバクラに連れて行かれた際、最初に私の隣に座ったキャバクラ嬢でした。正直なところ、見た目も平凡、スタイルも特記すべきところはありませんでした。年齢も、3歳4歳サバを読むのが当たり前の世界で、「嘘をついても仕方ない」と、実年齢で仕事をしていました。私よりひとつ年上でした。

 他のキャバクラ嬢は派手なメイクに盛りまくりのヘアスタイルだったので、ジュンの地味さは逆に印象的でした。もっとも、同行していた悪友たちの記憶には残っていなかったようなので、「私にとって」だけのようでしたが…。

 連絡先の聞き方も聞くタイミングも知らず、3回目の訪問ではじめて場内指名を入れて、ようやくアドレス交換をしました。しかしながら、メールするタイミングもつかめす、時間だけが過ぎて行きました。今思うと実にまどろっこい感じですね。

 ジュンから急に電話がかかってきたのは、彼女が店を辞める3日前のことでした。私は、「最後の客になる」と宣言して、実行しました。緊張が解けてしまったのか、最終日の彼女は生まれ故郷の地方訛り丸出しで喋っていました。

 「お店やめてもメールするから」
 深夜3時、店の前まで見送りに出てくれたジュンは私と握手を交わしながら言いました。しかし言葉とは裏腹に、彼女からのメールが私の携帯電話に着信することはありませんでした。よくある話ですが、まだネオン街のビギナーだった当時の私にとって、それは衝撃的な出来事として記憶に残りました。

 ジュンがいなくなってしまって、私は彼女との出会いと悪友たちの悪ふざけを題材にした小説を執筆しました。私が最初に書いた、「キャバクラ小説」です。

 何もかもがはじめて尽くしでした。ジュンと出会っていなかったら、キャバクラに通い続けることはなかったかもしれません。
(「いや、そんなことはないだろう」と悪友たちは笑うでしょうけれど)

執筆者 yanagi
1978年生まれ 作家、フリーライター、心理カウンセラー、サプリメントアドバイザー。メールカウンセリングサイト「ysカウンセリングルーム」、ライタースタジオ「スタジオY」主催。また、木悠利名義でも執筆活動中。元バーテンダーでもあり、キャバクラ・スナック等のネオン街の裏事情にも明るい。現在、電子書籍サイト「ヨミーバ」にて、yanagi名義で「ネオン街三部作」等、キャバクラを舞台にした小説を多数発表している。■ヨミーバhttp://www.yomiba.com/■ブログ「ysカウンセリングルームの小部屋」 http://ameblo.jp/yscounselingroom/■サイト「ysカウンセリングルーム」http://www.yscroom.com/

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