バブルガムフェロー(1996年)、シンボリクリスエス(2002年)に続く史上3頭目(戦後)の3歳Vへダービー馬ディープスカイが敢然と挑む。今年は例年以上に古馬の壁は分厚い。しかし、強力なライバルを前にしても栗東の若大将はひるまない。その自信を胸にいざ東上だ。
昆調教師が下した決断。それは古馬との戦いだった。「二四のGIを勝っていれば、それで十分に世界と戦っていける。正直、それ以上の距離でGI勝ちの必要はない」。今後を見据えた時、ディープにとって不可欠なのは“世界標準”ともいえる10〜12Fでのビッグタイトル。指揮官は菊花賞を回避した理由を含め、独自の理論を展開した。
もちろん、参戦するからには成算がある。抜群に切れたNHKマイルC、そして力でねじ伏せたダービー。これまでGIで圧倒的な強さを見せてきたのはすべて東京だった。相手があっての競馬とはいえ、これほど魅力的な舞台はない。
「これまで4度使ってすべて連対している。デキの悪い時を含めてこの結果だから評価できるよ。右回りだとモタれる心配があるんだけど、左回りだと本当にスムーズな走りを見せてくれる」
前走後は青写真通りの過程を歩んできた。1週前には栗東坂路で800メートル52秒4と豪快に動いた。「調整過程がチグハグだった」前走時とは比べものにならないほどの順調さだ。
「古馬との力関係は正直、よく分からない。でも、斤量差もあることだからね。東京ならいいイメージを持って臨めるし、どれだけやれるか楽しみにしているんだ」
次走の予定は同じく東京で行われるジャパンC。ここで結果を残せないようでは世界うんぬんはいっていられない。府中の鬼が世代交代を狙い、いよいよ羽ばたく。