「中田は最低でも100試合には出ないと…。昨季は首脳陣の温情もあり、開幕スタメンの座を射止め、本塁打も9本放ちました。レギュラー獲得の足掛かりを掴んだのだから、それをモノにしないと…」(球界関係者)
本数こそ少ないが、中田の本塁打は“飛躍を感じさせるもの”があった。シーズン中盤以降、オリックス・金子千尋、埼玉西武・涌井秀章、福岡ソフトバンク・和田毅といったエースクラスの投手から一発を放っている。
某在京球団スコアラーは「投手がその力量を測るため、意図的に甘いコースに投げたようだ」と客観的に分析していたが、彼らがその飛距離や打球の高さに驚いていたのも事実である。
その中田と新外国人選手・ホフマンが何故、キーマンなのか、それは、昨季は「打線の破壊力不足」に泣かされたからだ。
昨季の北海道日本ハムファイターズのチーム成績を振り返ってみると−−。
まず、日本ハムは『外国人野手』が出場していない。オール日本人打線でペナントレースを戦ったのは、1969年の東映フライヤーズ時代にまで逆上る(『プロ野球 全外国人助っ人大辞典』/東京堂出版を参考)。助っ人ナシの打線に故障者続出のアクシデントも重なり、チーム本塁打は一昨年の112本から91本に減少した。この数値はリーグワーストである。09年日本シリーズに駒を進めた日本ハム打線は『繋ぐ野球』だったので、4位転落の敗因は本塁打の減少だけではないが、チーム最多本塁打数が稲葉篤紀、小谷野栄一の16本では物足りない。昨季、20本塁打到達者が1人もいないチームは、パ・リーグでは日本ハムだけだ。12球団で見てみると、東京ヤクルト、広島東洋の計3球団。「横浜に移籍したスレッジが28本を放った」となると、相手投手に与える打線の脅威はやはり薄れたのではないだろうか。チーム総得点「612」はリーグ5位。優勝した一昨年は「689」(1位)である。
また、ペナントレース144試合をさらに見直してみると、本塁打が2本以上出た試合は、14勝2敗。1本でも、28勝18敗1分けと勝ち越していた。本塁打ゼロの試合は32勝47敗1分けだから、一発の脅威を秘めた中田、ホフパワーのバットが命運を握っていると言わざるを得ない。
メジャーリーグの選手名鑑等によれば、ホフマンはシーズン前半こそ打撃好調だが、「それを持続できない」とあった。
ホフマンが開幕ダッシュの『第一ロケット』となり、交流戦突入後に中田が…。打線に一発の脅威が加われば、日本ハムはペナントレースの主導権を握れる−−。(スポーツライター・飯山満)