7月26日に東京・調布市の家屋に墜落したのは“小型飛行機”で、操縦士は国家ライセンスを保持していた。今回の事故で気になったのは、「ウルトラ・ライトプレーンの操縦士にはライセンスがいらない」と報道されていた点だ。
「自家用、事業用機の操縦士は操縦士技能証明書を取得しているが、ウルトラ・ライトプレーンの場合は、航空身体検査、無線免許、耐空証明(航空機の強度など)などが必要ない。ただし航空法上は飛行機なので、3つの許可が必要です。(1)機体構造、(2)操縦士の技量、(3)飛行場(離陸地とは違う場所への着陸は禁止)。これ以外にも家や道路のある区域での飛行は禁止なので、飛行空域は大きな河川や海辺などの地域に限定されます。したがって交通手段としてはNGで、レジャーやスポーツとしてしか利用することができません」(航空ジャーナリスト)
とはいえウルトラ機の登録→許可というプロセスは書類申請だけ。それほど手軽に空を飛べるから驚きだ。
「国交省航空局は失速速度(飛行可能な最小速度)や重量など一定基準を満たす飛行機を『超軽量動力機』と名付けているのですが、ウルトラ機は海外から部品を輸入し、自作することが多い。だから作り方次第では、日本の航空ルールに合わないような機体も作れてしまう。自作の機体を見せる必要はありません。車でいえば改造車ですが、改造車は車検をパスできないから走行できないものの、ウルトラ機の場合、登録は書類申請するだけでナンバーがもらえます。ナンバーがあれば飛行は許可されるのです」(同)
燃料搭載は30kg以下という規定があるが、今回墜落したウルトラ機は、この決まりを上回る燃料を積載していた。しかも許可を得ないまま飛行したようだ。
「“お手軽”である反面、申請書類が多いことを面倒くさがる不心得者が少なくないのです」(同)
いくら市街地などを飛んではいけないといっても、いつどこに現れないとも限らない。話題の無人機ドローンの墜落事故が多発している折でもあり、より危険なウルトラ機についての法改正の検討も必要だろう。