男性が落下していく様子を目撃し、通報した動物病院勤務の女性は地元テレビ局のインタビューに答え、「もがいているかのように、空中で手足をばたつかせていた。パラシュートもパラグライダーもなく、本当にただ落ちているようにしか見えなかった。あっという間に視界から消えた」と男性が落下していく様子を証言した。
手足をばたつかせて落下する男性を目撃した女性は他に2人いた。男性の服は紺やグレーに近い濃い青色だったという。時間は午後3時半ごろだったそうだ。男性は高速322号線の並木の向こうに墜落したとの証言を目撃者から得たが、「どこに落ちたのかは遠くて分からなかった」と目撃者は証言した。
通報を受けた警察は男性が落下したと思われるエリアを徹底的に調査した。かなり広い範囲を捜索したが、警察は落下した人物はおろか、人が落ちた痕跡すらも発見できなかったという。現場の近くで怪我人が出たという話も、遺体を発見したという話もなかった。「雲を霞(かすみ)と消えてしまった」はまさにこのことだろう。
目撃者の女性たちは、人が地面に落下するのを見た直後に小さな飛行機が近くを飛ぶ様子も目撃していたという。目撃者らは飛行機が事故を起こしたか、スカイダイバーがミスをしたのではと思ったのだそうだ。しかし、警察によればスカイダイバーが行方不明になったという知らせも当局には届いていないという。
結局、この謎の落下事故は謎のまま、未解決事件となっている。
(山口敏太郎)