今回は、中野と橋本に同作について、そしてブレーク中の想いなどについて大いに語ってもらった。このインタビューを通じて、今の日本エレキテル連合の魅力を知っていただきたい。
ーー今回の単独ライブのテーマは?
中野:後づけなんですけど、“昭和感”ですね。テーマを決めずにネタ作りをしたんですけど、改めて(ネタの)構成を見ると“昭和の社会背景がテーマだな”って。
ーータイトルの『パルス』はどこから?
中野:芸歴10年の芸能生活の中で意外と“波がある”と感じたので、「ほかの言い方がないかな」と考えた時に『パルス波形』を思いつきました。パルスは電気信号のひとつ。毎回単独ライブでは電気をテーマにタイトルをつけていたこともあったので、ちょうどいいなと。
ーーその波は今どの状態ですか?
中野:ちょうどいいところです。波形が下がることはないんですけど、メディアに露出したり、流行語大賞を獲ったりというのもありましたからね。今は平穏。死んでるようにピーって。
橋本:死んでんのかい(笑)。
中野:今が一番落ち着いていて楽しいかもしれないです。
ーー中野さんはネタ作りをされていますが、単独ライブのコントはどこから作り始めましたか?
中野:毎年(単独ライブで)変な歌を作るんですけど、今回はフォークソングをテーマに『火炎瓶の唄』(配信リリース中)の歌詞を書いて、(同曲を歌う)『けんいち&じゅんこ』のコントを作りました。
ーー橋本さんは中野さんが作る世界観の強いコントを初めて見る人だと思いますが、どう思っているんですか?
橋本:分かるやつと分からないやつがあるんですよ。だから、分からないやつはとことん聞きます。
中野:私は「感じろ」って言いますね。聞いちゃダメだよ? 私だって分かってない時があるんだから(笑)。
ーー「どう演じようか」みたいな具体的なプランを持ったりしますか?
橋本:言われたままを演じます。(ネタ案を)言われて、聞いて、全部分かっていなくても、返ってきた答えをとりあえずやる。あまり深く考えないです。
ーー噛み砕くというか。
橋本:噛み砕いても砕ききれないので、それを考えずに「Don't think, Feel!」で言われたままやっています。
ーー中野さんはプレイヤーとしての橋本さんをどう思いますか?
中野:自分が監督だったら「絶対使いたい」と思います。言われた通りにやってくれるんですよ。己を入れないし「ここはこういうキャラクターにしたいんだけど」みたいな提案もないんです。その代わり「このキャラクターは渡部篤郎さんみたいにして」という演出はしないといけないんですけど。
ーー(笑)。今回のライブで言うと「誰の演技をしてくれ」みたいなものがあったのですか?
中野:『保健室』のコントは野島伸司さん脚本の『リップスティック』(1999年・フジテレビ系)の窪塚洋介くんの演技ですね。「◯◯だよー」みたいな。ちゃんとドラマを観て研究してやってくれています。あと『追悼番組』は(桂)ざこば師匠です。
ーーコント『ピンクの電話』は、昨年あたりから原型のようなネタを披露されていて「似てる」とネットでバズっていました。そもそも始めたきっかけは?
中野:ライブでピンクの電話さん(竹内都子、清水よし子)がいらっしゃった時に、よしこさんの真似をしてみたら割とできたので「オマージュしよーぜ!」って。これも同じパターンで「都子さんを研究して」って言いました。
ーー両者ともクオリティが高くて驚きました。
中野:よし子さんは誰でもできるんですけど、都子さんは面白いのにやる人も少ないですからね。
橋本:穴場だったので(笑)。
中野:(都さんの真似が)どんどん似てきて、今度似てくると悪意が入り始めちゃって。さらに顔芸も入り始めて……おふたりに公認していただいた後にどんどん足していきました。
橋本:共演させていただいた時に打ち合わせがあったんですけど、(都さんが)目の前に座られていてずっと表情を見ていると、(変顔をしながら)考える最中にこんな顔になるんですよ。
中野:失礼だな(笑)。
ーー現在は単独ライブはもちろんYouTubeで動画配信もされていますが、他にどんな活動をされているんですか?
中野:事務所ライブや他のライブに呼ばれて出たりしています。
ーー客層によってネタを変えたりするものですか?
中野:私たちのネタは観る人を選ぶネタなので、ウケない時は本当にウケない……。
橋本:10か0みたいなところかがありますね。
ーー『パルス』のお客さんの反応はいかがでしたか?
中野:割とポップな方で、分かりやすさを重視したので「“ダメよ〜”の人たちのネタを観に行こうか」っていう人でも、割とスッと入ってくれたので精神衛生上良かったですね。ウケたから楽しかった。今までは「おのおの、感じたところで笑えばいいよ」ってお客さん任せにしていたところがあったので、今回は誘導した感じです。
ーーでは、次回は前のスタンスに戻しますか?
中野:いや、味をしめたので戻さないですね。「前が良かった」という人もいるかもしれませんが、分かりやすく『エンタの神様』(日本テレビ系)ばりにテロップを入れるようなイメージでやっていきたいです。
ーー『ダメよ〜』でブレークした際はどういう気持ちでしたか?
中野:「世の中やばいな」と思いました。マイノリティなネタなので「これで世間に出るのまずくないか?」って。
橋本:びっくりしたくらいで実感がなかったです。でも後々「すごかったんだ」って思うようになりました。
ーー世に出たことでメリットはありましたか?
中野:みなさんに知っていただけないと単独ライブなんてさせてもらえないと思うので、それは良かったです。
橋本:生活ができるようになった(笑)。前はバイトが大変で、家の電気が止まることもありましたし。今は生活が安定してパソコンで好きな編集もできるので幸せです。
ーー逆にデメリットは?
中野:メリットの方が大きいんですけど、デメリットは小さいけど数が多くて……。色眼鏡で見られるようになりましたし、「“ダメよ〜”の人たちだ」って他のネタを観てもらえないとか。
ーー今後の展望を教えてください。
中野:今はすごく映像に興味がありますね。私たちアドリブができないので、撮ったものを編集して面白くする魔法をかけています。
橋本:個人的には演じることが好きですし、何かを与えられてやることしかできないので、誰か私に何かを与えてほしいです(笑)。
(インタビュー終わり)
2014年の日本エレキテル連合しか知らないあなたは損をしていると断言できる。ぜひ、進化した彼女たちの勇姿を見届けてほしい。なお、本作品は専用購入サイトのみでの購入可能となっている。
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(取材・文:浜瀬将樹)