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『BLEACH』第50巻、死神代行消失篇に過去の長編設定のアナロジー

 久保帯人が『週刊少年ジャンプ』で連載中の漫画『BLEACH-ブリーチ-』第50巻が、6月3日に発売された。この巻は前巻から始まった「死神代行消失篇」の2巻目で、謎の存在であった銀城空吾や毒ヶ峰リルカらが主人公の黒崎一護に接近した目的が明らかにされる。

 『BLEACH』の長編ストーリーは「尸魂界(ソウル・ソサエティ)篇」「破面(アランカル)篇」と、連載中の「死神代行消失篇」に大別される。最初の長編ストーリーになる「尸魂界篇」はストーリーが練られていた。「尸魂界篇」では、囚われた朽木ルキアを救出するため、一護達が尸魂界に乗り込み、護廷十三隊と対峙する。

 ここでは護廷十三隊は主人公達にとって敵対する存在である。少年漫画の王道的なパターンでは、主人公達が敵役を順々に倒していくことになる。ところが『BLEACH』は、護廷十三隊の隊長達が順々に主人公達と戦うのではなく、各々の思惑で行動した点で異色であった。これによって戦いだけではなく、ストーリーに深みが増した。

 それに比べると単行本第21巻から第49巻までの長丁場になった「破面篇」はバトルが多い反面、間延びしていた。ある敵を倒したら次の敵が登場という戦いの連続に終始する傾向があった。敵キャラクターの破面は主人公サイドの人間や死神とは異質な存在であり、ネリエルのような例外的存在を除き、倒すべき敵でしかない。その例外的なネリエルも、消化不良のまま終わってしまった。

 これに対して、「死神代行消失篇」はバトルには華がない。何しろ一護は死神の能力を喪失した状態である。その代わり、謎だらけのストーリーに惹き付けられる。銀城は一護に近付いた理由を説明するが、まだまだ裏があるような態度である。さらに銀城達と対立する月島秀九郎や、一護の父親の黒崎一心、浦原喜助の動きにも謎がある。

 このように「破面篇」とは様相を異にする「死神代行消失篇」であるが、過去の長編設定のアナロジーを楽しむこともできる。「破面篇」では、謎の集団「仮面の軍勢(ヴァイザード)」が一護に接触し、「死神代行消失篇」でも謎の集団「XCUTION」が一護に接触する。しかも、共に集団のリーダー格(仮面の軍勢では平子真子、XCUTIONでは銀城)が自ら一護に接触している。胡散臭そうな第一印象を与えた点も同じである。

 また、「尸魂界篇」も「破面篇」も、共に主人公達が囚われた女性キャラクター(ルキア、井上織姫)を救出しに敵地に乗り込んでいる。これまでのところ「死神代行消失篇」では誰も囚われていないが、織姫が月島の謎の能力「ブック・オブ・ジ・エンド」で斬られ、外傷は負わなかったものの心理面で何らかの影響を受けている。奪われた織姫の何かを取り戻すための戦いを予想させる展開になっている。

(林田力)

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