「ダメだって言われてんのにやっちゃうんだからマジでドルジは意固地ですよ」(角界関係者)更生を誓ったはずのわんぱく横綱はなんら変わっていなかった。
初日は小結の琴奨菊(佐渡嶽部屋)を豪快な上手投げで下した朝青龍。仮病騒動からの復帰戦を見事な白星スタートで飾ったものの、2日目の稀勢の里戦に早くも落とし穴が待っていた。珍しく立ち合いで当たり負けて歯車が狂った。
不本意な形で横向きになり、苦し紛れにプロレス技のフェースロックの体勢に移行。そのまま強引な首投げに打って出る。だが、この破れかぶれの選択が完全に裏目。首投げが失敗して逆襲を食らい、土俵下まで送り倒しで吹っ飛ばされた。
初日とは打って変わって散々な内容にバツが悪かった。取組後は稀勢の里に「オラァ覚えてろよ!」とばかりにガンを飛ばして威嚇。仏頂面を全開にして「はぁーあ、負けだな」とボヤいた。しかし、ブンむくれたのは当然。前日に高砂親方からこの事態を予測するかのようなある“お告げ”があったからだ。各界関係者が言う。
「実は高砂親方が初日をとって浮かれる朝青龍に忠告していたんです。荒技や大技を狙って色気を出すなって。今回の負け方はそれが的中した形になっちゃったから、朝青龍も煙たくてムッとしていたんでしょう」。親方の助言を右から左に受け流したことで敗戦を招いた負い目があったのか、取組後は「ガマンできずに投げを打つなんて…」と嘆く一幕もあった。
ただ、朝青龍が荒技を繰り出したのは必然だったのかもしれない。「初日とは違ってかなり感情的になっていたみたい。まあ、稀勢の里にはけたぐりやヒザ蹴りを浴びせたりと、いろいろありましたからね」(前出関係者)。確かに思い返せば稀勢の里戦では“前科”があった。
昨年の春場所では勝負の後にもかかわらず、稀勢の里の背中めがけて強烈なヒザ蹴りをかまして波紋を呼んだ。この日もフェースロックからの首投げが決まれば、再び「横綱らしくない」と批判される可能性は十分あった。だが、爆殺が未遂に終わったことで事なきを得たというところか。
やけっぱちになって仕掛けた荒技をミスし“ヘタこいた”格好の朝青龍。親方のアドバイスを“そんなの関係ねぇ”と完全無視したばかりに、バツが悪い一敗となった。