でも、先生自身は中卒です。というのも、都立北園高校在学中に革命家を志し、中退してしまったからです。70年に赤軍派へ入って兵士になり、71年には全国指名手配。以後、足かけ15年間にわたって日本中を逃げ回っていたのですから、大学どころの話ではありません。
「北園高出身の三英傑ってね。映画評論家の松田政男先生、ジャーナリストの斉藤貴男くん、そしてオレ(笑)。でも、それぞれ年が10歳以上離れてるから、在籍期間はかぶってないよ」
85年に警察へ出頭し、逃亡生活は終わりを告げます。時効が成立していたので服役することはなく、その年、中学受験塾へ入社。別段の目的があったわけでなく、ただの偶然だったそうです。ところが、そこで「受験勉強でも方法によっては本当の思考力が身につく」ことが分かった先生は独立。逃亡中に知り合った奥さんと一緒に高知市で「悠遊塾」を開講します。
世間を驚愕させたのは2000年の春。灘、開成、麻布、ラ・サールなどの超難関中学に、塾生全員が合格したのです。
「それも全員ガリ勉でもなんでもない、塾の近所に住むごく普通の子供たち。親だって“何が何でも東大!”ってわけじゃなく、単に“家に近いから”通わせてただけ」
そしてこの年、先生は塾を高知から“母校”北園高校のある板橋へと移しました。
先生の授業の特徴は、子供たちに徹底的に考え抜かせること。異色の経歴が編み出した学力向上法は、テレビ出演で忙しいナントカ先生たちには及びもつかない説得力があるのです。もろもろは先生の本「自慢させてくれ!」(源草社)に詳しいので、ぜひご一読を。