昨暮れの阪神JFを大楽勝したブエナビスタが同世代にいなければ、無傷の2連勝でここに駒を進めてきたパールシャドウには、もっとスポットライトが当たっていたはずだ。
デビュー戦が2着に4馬身をつける圧勝、続くベゴニア賞は出負けして、道中で折り合いを欠くシーンがありながら、スピードの違いで、最後は後続を1馬身以上突き放してみせた。机上の空論とはいえ、1分35秒5の勝ち時計を阪神JFに当てはめれば、ブエナからわずか0秒3差2着に続いた計算になる。
さらに、「前走は急にソエがひどくなっちゃって。デビュー戦以上に痛がっていた。しかも、レース間隔が短かったので、テンションも高かった」(手塚調教師)状態で、あの素晴らしいパフォーマンス。相当なポテンシャルを持っているのは疑いようがない。
前走後はここを目標に乗り込まれ、1週前追い切りでは坂路800メートル51秒2→37秒7→12秒8(強め)の好時計をマーク。これには手塚師も「この中間はソエが出ていないので、前走より調整過程は順調だね。前回の教訓を踏まえて入念にゲート練習を重ね、ケイコでもだいぶ折り合えるようになってきた。折り合えれば切れる脚が使えるし、“ポカ”がないタイプ。ここもいい競馬ができる」と手応えをつかんでいる。
今年の牝馬クラシックはすでに「ブエナビスタが何馬身をつけて勝つか」に焦点が注がれつつあるが、パールが3連勝で一気に重賞を制するようだと、女王もうかうかはしていられないはずだ。
【最終追いVTR】蛯名騎手を背に坂路で併せ馬。先週、速いところをやっているため、テンの入りは遅かったが、ラスト1Fで気合をつけられると抜群の手応えで鋭伸。追いかけたアポインテッドボブ(古馬1000万)と鼻面を合わせてゴールに飛び込んだ。状態はさらに上向きだ。