そんな中、自民党長老は「安倍首相は『桜を見る会』疑惑で攻め立てられようが、どこか余裕がある。経済が安定しているうえ、切り札として“秘中の秘策”があるからだ。それが電撃日朝首脳会談。近々、公表するかもしれないという情報が水面下で飛び交っている」と明かす。
もちろん、自民党長老が漏らした日朝首脳会談情報が政界を駆け巡っているのには、根拠がある。
「解散説が囁かれる中、11月15日の横田めぐみさん拉致42年に照準を合わせるかのように、韓国紙の朝鮮日報が11月13日付で『安倍首相が今年、北朝鮮に特使を3度にわたり極秘派遣。金正恩朝鮮労働党委員長に日朝首脳会談開催を提案する親書を届けていた』とスクープしたのです」(全国紙編集委員)
朝鮮日報の報道を分析した某全国紙編集委員によると、事実関係は次のようになるという。
まず、安倍首相の親書を北朝鮮に運んだのは首相の信任が厚い谷内正太郎・前国家安全保障局長。谷内氏は平壌へ直接飛び、日朝首脳会談を提案する親書を届けたという。親書の中身としては、首脳会談と同時に、北朝鮮による日本人拉致被害者問題を解決する内容も含まれていたようだ。
「朝鮮日報では、谷内氏が実際に正恩氏と会ったかどうかについては触れておらず、親書に対する北朝鮮側の反応も不明のままです。一方、日韓関係は韓国の徴用工問題での判決をめぐり、完全に断絶状態だった。それが10月24日に安倍首相と韓国の李洛淵首相との会談で変化のきざしが見えた。李首相が文在寅大統領からの親書を安倍首相に手渡すなど、再びソロリソロリと歩み寄りを見せ始めた。そんな矢先に朝鮮日報が、韓国政府筋からのリークで谷内密使の安倍親書をスッパ抜いた。ということは、正恩委員長の“伝書鳩”と揶揄される文大統領が日朝の間に入り、何らかの役割を担っているのでしょう。日朝首脳会談の実現が高まってきたからこそ、対韓国に強硬姿勢だった安倍首相も、11月4日に訪問先のバンコク近郊で文大統領と10分程度対話したのではないか」(同)
つまり、北朝鮮へ密使を送った日本に対し、陰ながら「日朝首脳会談」実現に向けて骨を折った韓国を再評価したということになるが、公安関係者は「韓国筋の報道」とは異なる見方をする。
「我々が得た情報でも、2004年の小泉首相、金正日総書記以来となる日朝首脳会談が実現する可能性は高まっているのは確か。というのも、米国と北朝鮮の非核化交渉は決裂し、今は膠着状態。米国は来年の大統領選を睨み、再協議のラブコールを北朝鮮に送っている。北朝鮮は米国の譲歩を引き出すのに時間がかかると見ている。その繋ぎに日朝会談を行い、なんらかの経済援助を得たいというのが北朝鮮の本音でしょう。北朝鮮の食糧難は相当深刻ですから」
★安倍首相4選の超長期政権
北朝鮮は’19年も天候不順が続いた。加えて、相次ぐ台風などの自然災害…。このWパンチで米、トウモロコシなどが大不作。北朝鮮は昨年より食料生産がさらに9%近く減少すると、国連は推計している。国連の北朝鮮人権担当報告者は、北朝鮮の人口の約4割にあたる1100万人が緊急食糧支援を必要とすると予測しているほどだ。
「北朝鮮は食料危機とともに、米国との交渉も暗礁に乗り上げている。そんな折、来春、中国の習近平国家主席が国賓とし来日予定だ。尖閣問題で対立していた日中関係が大きく改善する方向へ動き出すはず。今なお北朝鮮の最大の後ろ盾である中国が日朝首脳会談を大きく後押ししたのは確実でしょう。表向き北朝鮮は、ミサイル発射を批判する安倍首相に対決姿勢を強めているが、裏では中国の猛プッシュで日朝首脳会談に前向きのようです。文政権は韓国国内で大失速しつつあるうえ、北朝鮮からも重要視されていない。日朝首脳会談を前進させたのは一部で言われている韓国ではなく、中国と見ている」
と指摘するのは北朝鮮事情通。その上で政治担当記者が続ける。
「年末か年始の選挙は必至の情勢になってきた。それに合わせて、『日朝首脳会談決定』のカードは絶大なインパクトになる。一見、安倍政権は相次ぐ閣僚辞任と『桜を見る会』の追及があり、野党が押しているかのように見えるが、実際の野党間はバラバラです。加えて、懸念された消費税10%による庶民生活への影響はほとんどない。今、解散に打って出れば自公の与党が断然有利です。ただ、改憲のための政権浮上を狙った解散ではイメージがよくない。安倍首相にとって日朝首脳会談のアドバルーンは、喉から手が出るほどほしいカードです」
11月20日で桂太郎を抜き歴代在位トップとなった安倍首相は、4選の超長期政権も囁かれ始めた。
「二階幹事長は安倍首相の4選を支持している。日朝首脳会談が本決まりになれば、解散総選挙で自公大勝は間違いない。そして、悲願である改憲と拉致問題解決を成し遂げたなら、安倍首相は在位1位の名宰相として歴史に名が残る」(政界関係者)
解散機運は最高潮。