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うちなんちゅやまとんちゅ〜沖縄身の丈見聞記〜(9)「300年前の空気 〜首里 内金城嶽と大アカギ」

 まず始めに、この度の東日本大震災にて被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。遠方につき直接の支援を差し上げる事が出来ず歯痒いですが、これ以上被害が大きくならないこと、また皆様が一日でも早く元の生活に戻れますよう、祈っております。

 本土から沖縄にやってきた筆者が、歴史や事件の舞台を追いかけ、沖縄の独自文化や日々のカルチャーショックのつれづれを綴っていく『沖縄身の丈見聞記』。今回は“地域密着型の聖地”、首里の内金城嶽と大アカギについてです。

 独特の宗教観を持ち、自然と一体化した聖地の多い沖縄には、パワースポットとされる場所が多くあります。筆者は所謂流行からくるパワースポットの類は信じていません。が…『ここには確かに、“何か”があるかも知れない』そう思ったのが、この首里の内金城嶽でした。

 御嶽(うたき)とは、琉球独自の信仰における祭祀場のことです。ざっくり説明すれば、御嶽は神話の神や土地・祖先神が“おわすところ”。この土地神・祖先神を祀るという性質上、昔は一集落に必ずひとつ御嶽がありました。今でも沖縄の信仰の要となっていますが、色々な理由で破壊されたり、逆に観光地化が激しくなってかつての佇まいを失ってしまった物も多くあります。
 ですが、今回の内金城嶽は市街地にある大きな御嶽ながら、古の御嶽の『空気』を今も保ち続けているのです。筆者も斎場御嶽等の有名な御嶽へは行った事がありましたが、ここは特に異質だったと言うか…。何故なら、住宅地のど真ん中なんですよ。この御嶽があるのは。
 日本の道百選にも選ばれた『首里金城町石畳道』からの脇道がありますので、ある程度は景観保護の恩恵を受けているのかも知れませんが、そんな所に、いきなり切り取ったかのように静謐な空気と、自然と一体化した神秘的な空間が現れるのです。

 この内金城嶽は石門を備えた石垣で囲われています。中央にアカギの大木があり、その下に3個の石が立てられるという形態をとっています。以下は御嶽内の説明文から。
 「琉球国由来記等々の文章によると、340年前、豊かな森だったこの辺りを、村人が通る度に霊気に打たれるので、これはただ事ではないと時の王府に願い出て拝所を置き、神々と王府との交流の場となる。王府解体後は、個人信仰にゆだねられている」
 神名は、東側の大嶽がカネノ御イベまたはモジヨルキヨノ大神、西側の小獄はイベツカサ御セジ。真壁大阿志母良礼が仕えていたとされています。
 『霊気に打たれる』って表現がスゴイ…ですが、御嶽内では確かにそのような空気に圧倒されるのも事実。戦争を越え、当時の聖地を守りながら今に伝えるアカギの大木は、畏ろしくも神々しくありました。

 なお、一番大きなアカギにはいつしか自然のほこらが出来、旧暦の6月15日に神様が降りてきて一つだけ願いを叶えてくれる、そうです。
 欲張らずに、ひとつだけ。そうすれば、神様が願いを実らせてくれるかも知れません。

(黒松三太夫 山口敏太郎事務所)

参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou/

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