4日午後、近隣住民が同村の海岸で前後の脚をガムテープで縛られ、脚の先が壊死(えし)した状態にあった2匹の猫を発見。いずれの猫も治療を受けており、うち1匹は傷が化膿して首から下が麻痺した状態。獣医師による治療が続いているという。
同様の状態にあった残り1匹は10日、「沖縄野良猫TNRプロジェクト」代表の小林恵未さんが見つけた。治療後は小林さんが保護しているという。小林さんは「沖縄タイムス」の取材に、「沖縄は野良猫が多く虐待の犠牲になっている可能性がある。飼育の在り方もこの機会に見直してほしい」と訴えている。沖縄県警は動物愛護法違反の疑いで捜査を開始した。石川署は、3匹の猫が別の場所で虐待を受け、海岸に捨てたものとみているという。猫の状態からも約1ヵ月から数週間前に縛られ、数日以内に捨てた可能性が高いようだ。
昨年冬以降、沖縄本島中部でも虐待された猫の死骸が確認されている。前後の脚がなく、頭部が胴体からほぼ切り離された状態の猫の死骸が北谷町砂辺の路上で見つかるなど、あまりにひどい虐待被害がこれまでに計6件も起こっている。
この状況を知ったネットユーザーからは猛烈な非難が集中している。「少数の悪意で県民性を疑われます!本気でやめて欲しい」「猫って本来、怖がりな動物…本当にかわいそう」「野良猫を虐待して自分の存在アピールですか? それであなたの何か変わったんですか」「相応の厳罰を与えるのはもちろんですが、犯罪予備軍として周囲に勧告して下さい!」「一番最悪なのは、可愛いってだけで猫を飼っては捨てる、を繰り返した元飼い主でしょ。猫だって命あるんだから」などの意見が見られた。
前出の「沖縄野良猫TNRプロジェクト」代表・小林さんも、「今回のような虐待犯、放っておけばいずれ人間に犯行が移行します。」と、自身のFacebookで情報を拡散するよう呼びかけている。
昨年、沖縄への移住者を対象に情報を配信している「おきなわマグネット」の取材で、那覇市環境部環境衛生課の職員は、20年ほど前から沖縄に野良猫が増え始めた原因として「猫を不妊手術をしないままで放し飼いをしてしまったり、温暖な気候なので繁殖機会が多くなったりしてしまうから」と語っている。また、無責任な餌付けにより野良猫が増加していることも懸念材料のようだ。
環境省が2016年に報告した「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容状況」のデータによると、沖縄県の猫の引き取り数は47都道府県のうちワースト5位の698件、うち殺処分数は21位の737件となっている。県や市の取り組みもあり、引き取った猫の返還や譲渡数は増え、殺処分は年々減少傾向にあるようだ。とはいえ、野良猫が減らないと虐待行為にもつながり、地域全体が頭を抱える問題になるに違いない。
元をたどれば野良猫の増加は、捨て猫が発端だ。虐待するのはもってのほかだが、飼い主それぞれが責任を持ってペットを育てなければ根本解決には至らないだろう。
記事内の引用について
沖縄 野良猫TNR プロジェクトの公式Facebookより
https://www.facebook.com/okinawa.cats.tnr/