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私はこうしてお客様に落とされた 〜アケミ・クラブ ママ(32歳)〜

 深夜3時を回るころ。つい数時間前まで酔っ払いたちの大声がこだましていた店内は、若い女の子たちの甲高い笑い声で響き渡っていた。独り立ちして、お店を持ってからというもの、昔に在籍していた店の馴染みで来てくれる女の子もいれば、噂を聞きつけてきてくれる若い子たちもいたりして。気付けば、私の夢だったこの店は、閉店後のホステスが集う場になってたみたい。

 「あら、何楽しそうに盛り上がってるの?」
 「ちょっと、ママ聞いて! 客に本気でアタックしちゃってるの、この子!」
 「いいじゃん! 惚れちゃったもんは仕方ないでしょ!」

 携帯片手にじゃれ合う若い子たちを見ていると、ふと、昔の自分を思いだしてしまう。

 「ねえ、ママからも客なんかやめとけって言ってあげてよ」
 「そうねえ、でもママはいいと思うわよ。…というより、ママの旦那様も元お客様よ?」
 「ええ、嘘でしょ!?」
 「だってママの旦那さんって、どこかの偉いサンじゃなかったっけ?」

 顔を見合わせるように、目の前の若い子たちがキャッキャはしゃぎだすものだから、嬉しくなって思い出話しのひとつでもしようかなと思ってね。

 「ママと出会ったときはね、それはそれは、ごく平凡なサラリーマンだったわよ。でもね、ママの隣に立っても恥ずかしくないような男になるんだって言ってね」
 「それで、偉いサンになったの?」
 「うん、まあそうなんだけど。でも、それよりもママとしては、見合う男性になるって言って本当に行動にうつしてくれたことが嬉しかったのよね。有言実行できる男ってなかなかいないじゃない?」
 「確かに〜!!」
 「だからあなたたちも、お客さんだからとかじゃなく、男としてどうかを見極めなきゃダメよ?」

取材・構成/LISA
アパレル企業での販売・営業、ホステス、パーティーレセプタントを経て、会話術のノウハウをいちから学ぶ。その後、これまでの経験を活かすため、フリーランスへ転身。ファッションや恋愛心理に関する連載コラムをはじめ、エッセイや小説、メディア取材など幅広い分野で活動中。
http://ameblo.jp/lisa-ism9281/
https://twitter.com/#!/LISA_92819

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