「見知らぬ人間に声を掛けられ一台2万円前後をもらって契約させられるのですが、その携帯は本人には渡らず誰かが使い捨てる。その後、高額の通話料請求だけが残され、ホームレスの生活はますます苦境に追いやられる。その料金は、数百万円以上に上るものもあります」(地元記者)
この手口での被害者は約3年前にも続出し、携帯電話各社の契約条項も厳格化され減少傾向にあった。ところが、ここへ来てまたもや増加しているというのだ。
「釜ヶ崎支援機構」の関係者がこう語る。
「アベノミクスなどどこ吹く風で、最近の西成区はさらに景気が悪くなっている。仕事が少ないからみんな食うのに精一杯です。そんなんやから、悪いこととはわかっていても2万円欲しさに手を出してしまうというわけです」
ちなみに、3年前の手数料の相場は5万円前後で、半額以下になったにもかかわらずこのありさま。
加えて、被害者増加の背景には、携帯販売会社の事情も影響している。
「数年前までは警察のアドバイスもあって、こちらが怪しいと睨んだ客は書類がそろっていても適当に理由を付けて断っていました。“見張り”の前で複数の契約をする客なんて、どう見ても怪しいですからね。ところが今は、店ごとのノルマやキャリア間の競争がきついため、書類さえ整っていればまずパスですよ」(日本橋の代理店店主)
2万円で掻き集められた携帯は、架空請求詐欺やオレオレ詐欺の小道具に使われている可能性が高いが、「最近は密輸や外国人の不法就労にも関係している可能性もある」(捜査関係者)という。高額の請求料金の中に国際電話料も多く含まれているからだ。
貧困ビジネスは弱者をどこまで傷めつけるのか。