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GI菊花賞 名伯楽・瀬戸口師の言葉に千鈞の重み サムソン3冠「大丈夫」

 歴史的大偉業達成か、はたまたそれを阻止する新星の誕生か。22日に行われる「第67回菊花賞」(GI 芝000m 京都)の主役は誰が何と言おうと3冠がかかるメイショウサムソンだ。内外が誇る栗東キャップ・谷やんこと谷口記者が、来年で定年を迎え最後のクラシックに挑む瀬戸口師、加藤厩務員を直撃。その熱い思いを聞けば、83年(ミスターシービー)、84年(シンボリルドルフ)以来の2年連続3冠馬誕生はもう目前だ。
 「まだ取材しとったんかいのう。もうそんなにしゃべることもありゃせんように。アンタらの仕事も大変やろのう」
 当コラムのネタを取るため、2冠馬メイショウサムソンの馬房の前に長らくオジャマしていた記者に、いつもながらに親しみを感じさす鹿児島弁で、「大丈夫、馬は変わりないからのう」とだけ言い残し、厩を跡にしたのは瀬戸口師だ。
 競馬記者歴24年目を迎えた小生は、セントライトとシンザンを除く4頭の3冠馬(ミスターシービー、シンボリルドルフ、ナリタブライアン、ディープインパクト)誕生の瞬間をこの目で見届けてきた。その最後の1冠に臨むにあたり、ときには“鉄のカーテン”で報道規制が敷かれ、またあるときは担当者が重くのしかかるプレッシャーの前に病に伏したケースもあった。ところが、瀬戸口師だけは常に「平常心」を保ち続けている。こんなトレーナーは過去に記憶がない。
 そして、キョトンとして、その言葉に敬服している記者に対して、「先生はどんなときでも、あんな感じで太っ腹。普通の人なら、あれこれ言うところでも若いボクらに任せてくれる。だから、達成したときの喜びもひとしお。ホント、昔の名伯楽といわれた人は、ああいう人だったんでしょうね」と話しかけてきたのはサムソンを担当する加藤厩務員。
 16歳にして厩舎の門を叩き、瀬戸口師に仕えること23年。温厚で人情味あふれる師匠とは対照的に、「ボクは名古屋出身で(中日)ドラゴンズのファンなんだけど、落合監督みたいにいつも冷静でポーカーフェースではいられない」と言う直情型だが、記者とのこの一連のやり取りを見てもらえば、サムソンのデキがいかほどにあるかは容易に察しがつくだろう。現実に、「馬の調子の良し悪しが顔に出る性格のボクの笑顔を見ればもう分かるでしょ」と相好を崩した。
 もちろん、菊に至るまでの調整過程も順風満帆。1週前の12日、6F77秒9(DWコース)の猛スパーを行っているため、直前(17日)は単走で上がりを重点に追われたが、「静」の中にも「動」を感じさせる躍動感がヒシヒシと伝わってきた。
 「追い切りはホント、ダービー以上に素晴らしかった。実のところ入厩当初はここまでの馬になるとは思っていなかったけど、クラシックを狙えるとしたらダンシングブレーヴの肌にオペラハウスと欧州が誇る長距離血統。最後の1冠だと思ってたんだ」
 うれしい誤算といったら失礼だが、すでに2冠は制した。そして、迎える自信ありの菊花賞。“グランドスラム”は確約されたも同然だ。
 「この馬に一から競馬を教えてくれた石橋(守騎手)さん、電話一本で駆けつけてくれる獣医の時見先生、オグリキャップで培ったノウハウを伝授してくれた辻本(助手)さん、どれか一人が欠けていたら今のサムソンは存在しなかったと思う。そして、(来年定年する)先生の最後のクラシックに3冠挑戦という大偉業をこれだけの馬で、これだけの状態で挑めるボクは最高の幸せ者です」
 いぶし銀の面々が見事に咲かす菊の大輪。史上7頭目の3冠馬誕生の瞬間をとくとこの目に焼き付けたい。

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