まず先陣を切って登場したのは、選手宣誓に臨んだ岡田明丈。途中で言葉を噛みつつも何とか大役を果たしたその姿に、場内からは笑いも交えた声援が送られていた。
次に観客を沸かせたのは、その後の始球式に登場した黒田博樹氏。現役時代広島、ドジャース、ヤンキースの3球団に在籍し、2016年の引退までに日米通算203勝をマークしたレジェンド右腕は、まっさらなマウンドには上がらないという“気遣い”を見せてもいた。
そんな先輩の姿に刺激を受け、この日両軍の先発を務めた“現エース”大瀬良大地と、2015年まで広島に在籍した“元エース”前田健太(ドジャース)も好投。大瀬良は今季共に最優秀バッテリー賞を受賞した會澤翼とタッグを組み、強力MLB打線相手に5回1失点。約3年ぶりの“凱旋登板”となった前田も、2回無失点の投球でメジャーリーガーの貫禄を見せつけた。
残る2名である田中広輔、菊池涼介が躍動したのは、「2‐3」と侍ジャパン1点ビハインドの9回表1死2塁から。チャンスで打席に立った田中はセンター前に同点タイムリーを放つと、すかさず盗塁を敢行し悪送球の末3塁まで進塁。その後1死1、3塁となったところで、菊池が逆転打となるセーフティスクイズを成功させた。
地元広島の声援を背に受け、それぞれの役割を果たしたこの7名。今回の試合を受けたネット上には、「最初から最後までカープファンにとっては最高の日」、「みんな持ち味を出しててよかった」、「今後も広島で国際試合やってほしい」といった喜びの声が挙がっていた。
今季の広島にレギュラーシーズン「44勝24敗1分」、ポストシーズン「4勝1敗1分」と力強さを与えてきた本拠地マツダスタジアム。その“ホームアドバンテージ”は、日米野球の舞台でも存分に発揮されたようだ。
文 / 柴田雅人