26日のタイガース戦では先発の濱口遥大が大乱調で、初回の先頭打者近本光司に、2球目をライトスタンドに運ばれると、2回にはマルテ、中谷将大の連続ホームランを喫し、自らのエラーも絡んでの計5失点を喫すると1回2/3で降板。この緊急事態にマウンドを任された国吉は、2アウト1-2塁のピンチを脱すると、5回まで大山悠輔にカーブを上手く捕らえられたソロホームラン1本に抑える好投を見せた。中継ぎピッチャーとして3回1/3を投げ切り、67球、5奪三振と、気温30度をゆうに超える中での、まさしく“熱投”だった。
23日のジャイアンツ戦でも、6-0の劣勢から6-4まで追い上げた6回からマウンドを託され、相手1番から始まる打順を三者凡退に抑えると、続く7回もピンチは迎えたものの無失点で切り上げる好投を見せた。
これらを含め、直近の4試合は危なげない投球内容でチームに貢献。開幕前から目標として語っていた、去年中継ぎでビハインドの場面での回跨ぎなどでフル回転した「三嶋(一輝)さんのような役割」を果たしている。
昨年シーズンオフにオーストラリアで武者修行し一回り大きくなった国吉は、オープン戦から好調。今季は開幕から一軍入りし、4月6日には日本プロ野球史上2番目の161キロを記録し注目を集めたが、それだけではなく、今まで課題だったコントロールが安定したことと、中継ぎピッチャーとして「ルーティンも慣れてきた」と語っており、これも、このところの好調の要因であろう。
開幕から1か月半だが、日本球界ではまだ馴染みのない“オープナー”や、勝っている場面、負けている場面、同点の場面など、ありとあらゆるケースでの登板が続く国吉。ベイスターズのストロングポイントであるブルペン陣が、昨年のフル回転の影響からか、イマイチな状況が続いているだけに、196センチの大男の右腕にかかる期待はこれからも大きくなっていくであろう。
取材・文・写真 / 萩原孝弘