荒れる猪年。桜花賞から始まった中央のGI(JpnI)レースの1番人気は、とうとう12連敗となった。
スタートから重い重圧がのしかった1番人気のロックドゥカンブは「1周目3コーナーでいい位置が取れた」と柴山騎手は振り返ったが、その表情は青ざめていた。1、2着馬は、はるか前方を走っていた。この時点で、勝利から完全に見離されたといえる。ゴール前、馬群の内から鋭く追い込んだが、最後のあがきといっていいだろう。
1、2着馬は好ポジションだった。ダービー2着のアサクサキングスは、先行4頭を前に見ながらマイペース。2周目4コーナーからジワッと進出。ゴール前200mで一気に先頭に躍り出た。
「きっちり仕上げてくれた。いい状態で走れたことが、最大の勝因ですね。仕掛けるのが早すぎた、といわれそうだけど、この馬の強さは知っていますからね。並ばれてからがしぶといのでね。追い比べで、負けるとは全然思わなかった」とは四位騎手だ。
春のダービーは牝馬ウオッカが優勝。そのウオッカの手綱を取ったのが四位騎手。ダービー馬不在の競馬なら、ダービー2着のアサクサキングスが一番強い。この自信が、キングスに最後の栄冠をもたらした。
前半から掛かり気味。アラナスラインは苦しい競馬だった。それでも、ラスト100mからアサクサキングスを猛追した。その差、アタマ差だから悔しい敗戦か。
春の主役フサイチホウオーは8着完敗。武豊・マジックが期待された神戸新聞杯の覇者ドリームジャーニーは5着でも、関係者から笑みがこぼれた。マイルのGIホースが3000mのスタミナ争いでも5着に頑張ったのだからほめるべきなのか。
ダービー馬が走らなかった「3歳最強馬決定戦」はダービー2着馬が、改めてその強さを証明した。「距離の長いレースが合っていますね。もっと長いほうがいいかな」3冠ジョッキーは早くも来春の天皇賞・春(GI 芝3200m)に標準を合わせている。