30日に行われた記者会見で、「セイジ」の原作を映画化するうえで難しかった点を聞かれると、龜石氏は「非常に淡々とした物語ながら、すごく強い言葉を持つ原作だったので、それをそのまま脚本に乗せるのではなく、どう映像化していくかに非常に苦労しました」。伊勢谷は「セイジのセリフで『人間が多過ぎるだけだ』というのがあるんですが、今地球上で人間の生活が限界に向かっている中、大いなる問題がある時に言葉で論じているだけでは非常にネガティブなことだと僕は思っています。僕はなんとかセイジに行動をさせたくて、物語の結末はセイジから命のバトンを受け取った少女が次に繋がるアクションを起こす、という風に落とし込みました。そこでやっとセイジというキャラクターが腑に落ちたんです」とコメント。
さらに「2人で意見が衝突することはないか」と質問されると、龜石氏は「友人関係としてももう10数年なんですが、ケンカすることはないですね」。伊勢谷は「脚本でも彼はエンターテイメントの部分を書けるんですが僕は書けないし、そういう意味では住み分けが良くできている2人です。僕たち2人とも結婚していないんですが、この関係のせいで奥さんがいないのかもしれません」と笑わせた。
また、会見の最後に龜石氏は「3.11の震災時、日本中が絶望感に包まれていました。その時、台湾の方々には迅速に支援して頂き、本当に心強く感じました。ここに2人から心からお礼申し上げます。ありがとうございました」と感謝を述べ、伊勢谷と2人で深くおじぎした。
なお、8月15日(水)には「セイジ 陸の魚」Blu-ray&DVDが発売される。
【ストーリー】
学生最後の夏休みを迎えた「僕」(森山未來)は、適当に就職を決めて、一人自転車旅行に出かけた。見知らぬ街をいくつも越えて、旧道沿いに立つ寂れたドライブイン・HOUSE475に辿り着く。普段は寡黙だが心を捉える言葉を持つ店主のセイジ(西島秀俊)と、夜な夜な集まる個性的な常連客たちに強く惹かれた「僕」は、いつのまにか住み込みで働くようになる。見知らぬ場所、見知らぬ人々との毎日は刺激的で楽しく、いつのまにか夏が終わり自分の街に戻る日が近づいて来た頃、凄惨な事件が起こる。
(C)2011 Kino Films/Kinoshita Management Co.,Ltd