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【オカルト界の権威・山口敏太郎が語る“都市伝説”】危険な男

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画像はイメージです

 A子さんは30代の主婦である。

 ある夜のこと、A子さんは郊外の深夜スーパーに買い物に出かけた。

 車を駐車場に停め、買い物を済ますと、妙な男の存在に気がついた。

 駐車場の入口付近から凶悪な男がこっちを見ている。

 (なんなの、あの男。危険な奴だわ、きっと犯罪者よ)

 身の危険を感じたA子さんは、車を急発進させた。

 すると男は慌てた様子で追いすがった。

 「おっ、奥さん待ってくれい!!」

 「きゃー!」

 悲鳴をあげながら、A子さんは男を振り切った。

 もんどりうって倒れる男。

 すると男は自分の車に乗り込み、A子さんの車を追跡し始めた。

 (だめよ、ここままでは追いつかれてしまう)

 A子さんは必死に車を飛ばした。

 (もう少しだわ、自宅にはうちの夫がいるはず。早く自宅まで逃げなきゃ)

 A子さんは自宅まで猛スピードで走り抜けた。

 そして、自宅に到着するとクラクションで夫を呼んだ。

 緊急事態だと察知した夫が飛び出してくる。

 A子さんは車の窓から身を乗り出して叫んだ。

 「あなた、変な男が私の後をつけてくるのー」

 「よし分かった。今、後から来た車だな」

 夫は、A子さんの車を追跡してきた男に猛然と抗議した。

 「君はいったいなんなんだ」

 「私はただ…」

 「ただ…なんだ!!」

 「ただ、奥さんの車の後部座席に刃物を持った男が乗り込むのを見たので、知らせようとしただけですよ」

 はっとして、振り返るA子さん。

 そこにはよだれを垂らし、刃物を持った男がうすら笑いで座っていた。

 本当に危険な男は自分の車の中にいたのだ。

(山口敏太郎)

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