ただし、懸念されるのは治安問題。麻薬密売組織による凶悪事件が多発しているが、「移住先として人気の街はリゾート地や観光地なので治安は安定しています」と前出の安田氏。
2年前に夫婦で移住した梅田三郎さん(63歳・仮名)は、治安のいいカンクン郊外で生活。住まいは2DKのアパートで家賃は2600MP(メキシコ・ペソ=約1万6380円)。食事は自炊中心で、昼は地元の屋台などで済ましている。
「屋台のタコスは1個10MP(約63円)。ボリューム満点で、一つでもお腹いっぱいになります」
ほかにも交通費が格安で、市内バスは5MP(約32円)、タクシー初乗りは7.4MP(約47円)。長距離バスも安く、毎月メキシコ各地への小旅行を楽しんでいるが、夫婦の生活費は月15万円以内だという。
「年金はまだですが夫婦2人の受給額で十分暮らせます。ただ、スペイン語圏なので英語が通じず、それが大変ですけどね」(前同)
また、メキシコ以上の物価の安さでリタイア生活者に人気なのがグアテマラ。世界遺産の遺跡の街アンティグアにはスペイン語学校が多く、授業料の相場は1カ月300ドル(約2万4000円)。中米最安でレッスンはマンツーマン。
しかも、講師の多くは若い女性で、「これを機に付き合ったり、一夜限りの関係なんて話も珍しくない」とは、現地のスペイン語学校に通っていた30代の日本人男性。そのため、欧米各地からもラテン娘と仲良くなりたいオヤジ連中が押し寄せているそうだ。
また、グアテマラ以上に人気なのがコスタリカ。自然に囲まれた国で、物価水準はグアテマラよりは若干高い程度。それでも月5万円台での生活が可能だ。
食料品が安く、お米は2キロで1000C(コスタリカ・コロン=約160円)、インスタント麺は180C(約29円)、バナナは1房200C(約32円)。それ以外の肉や魚、野菜なども日本の3〜4割程度と自炊中心の生活をする移住者に人気が高い。
ナイトスポットも安く、世界各地の夜遊び事情に詳しい風俗ライターによれば、「一発60ドル(約4800円)程度でモデル級の美女と遊べる」という。
東南アジアとは一味違った魅力のラテンの国々への移住。老後は“カリブの熱い夜”を堪能するのも悪くないかもしれない。