絶対的な主役は不在。戦国の様相を呈すスプリント路線統一を目指し、昨秋一番の上がり馬サンアディユがリスタートを切る。
5日の追い切りは栗東坂路。最後だけ軽く気合をつけられる程度だったが、それでも4F52秒4→計不→24秒9→12秒2。本格化前は硬さが目立っていた馬が、今は柔軟に体全体を使って駆け上がっている。
「ここまで追い切りも本数をこなしているし、直前はこれぐらいのケイコでちょうどいい」と音無師も納得の走りだった。
今回は昨秋の京阪杯以来、3カ月半ぶりの実戦。「そのあたりがどう出るか」と一応、トレーナーは慎重な姿勢を見せたが、実は2カ月以上の休み明けは6戦5勝という鉄砲巧者。これだけ仕上がっていれば、いきなりエンジン全開だろう。
昨年は夏から一気の大ブレークだった。初めての芝だったアイビスSD、負ければ引退だったレースで重賞初Vを達成するとセントウルSを勝ち、スプリンターズS2着。続く京阪杯も文句なしの強さだった。
気性の成長に伴い、控える競馬も可能になった。天性のスピードに加え、器用さも身につけた今なら、GI制覇は手の届く位置にあるはずだ。
「中間はテンションを上げないよう調整してうまくいった。京阪杯は57kgで勝ってくれたし、56kgならあっさりちゃうかな」と塩津助手はうなずいた。
鞍上はJRAデビューの先週から絶好調の内田博騎手。きっちり態勢を整え高松宮記念に弾みをつける。