時間は18時を過ぎて外のネオンが明るくなる中、あきらかに女性は店へ出勤前モードで、ヘアースタイルは巻き巻きアゲアゲ、髪色は金色に近く、かなり派手なメイクをしている。同伴出勤前というのは、見る人が見ればすぐに分かる。
老紳士っぽい男性は60代ぐらいで、渋みがある感じだが、どう見ても女性の彼氏というにはあまりにも違和感がある。もちろん父親という感じでもない。二人の距離感を見ても微妙な空気が漂い、一目みたら誰でも分かるほどだった。
女性がこの着物店に来るのは初めてではない、と感じたのは入店早々、店員を呼ぶスピードが早く、非常に手慣れていたからだ。女性はシンプルな着物が好きらしく、店員の説明を聞きつつ、商品選びに精を出し、さりげなく男性のお伺いを立てているところは流石である。
男性は会社ではそれなりのポジションなのだろう。姿勢はキレイでスッとしていて、黒いスーツが似合っている。仕事ができそうな雰囲気を醸し出していた。キャバ嬢と会うために見栄を張ったファッションをしているようには見えなかった。
実生活の仕事が出来るかどうかはともかくとして、派手目な女性には弱いようで、言いなりになっている様だ。
気になるのはキャバ嬢とデート? をしているにも関わらず、デレデレしてるようにも見えず、笑顔ではない。
緊張しているのだろうか? と男性に聞くわけにはいかない所が、もどかしく感じた。
今夜もまた振り回されているかもしれない。
*写真は本文とは関係ありません
【写真提供】新宿ディアレスト