それもそのはずで、父ダンスインザダークは1996年にこのレースを制し、種牡馬としても2頭の菊花賞馬を輩出。それに、母エアグルーヴは2400メートル以上のGIで(1)(2)(3)(2)(5)着という安定感を誇った。池江郎師は続ける。
「この馬の血統、資質からも長いところの方が絶対に競馬がしやすいはず。気性は素直だし、折り合い面に関してもまったく心配がないからね」
確かに、2400メートルで快勝した5走前の生田特別の内容は適性の高さを感じさせるもの。終始、2、3番手で折り合い、息の長い末脚で後続を引き離す、まさにステイヤーの勝ち方だった。
「他はできあがっている馬ばかり」(同師)のなかで、いまだ完成しきっていない分、伸びシロが残っているのも大きな魅力だ。「まだ成長はゆっくりゆっくりだが、少しずつ上向いてきているのは確か。権利を取れたことで、ここを目標にしっかりと乗り込んできたからね」と指揮官は話す。
前走後は新設されたポリトラック中心にしっかりとケイコを消化。以前は常に併走馬に先着を許していたが、2週連続併入に持ち込んだあたりが、師が言う成長の跡だ。
「夏を使っているので体はできている。もともと素質的に大きな期待をしていた馬。ここでどういう競馬をしてくれるか今から楽しみ」
世代のエース格アプレザンレーヴが早々にリタイアしただけあって、この馬かける期待は日々、高まっている。乱菊をぶった斬るのは結局、血の力かもしれない。
【最終追いVTR】栗東Wコースで6F80秒3→65秒3→50秒9→37秒9→11秒7(一杯)。古馬1600万のニュービギニングと併せ、4コーナーでは1馬身ほど置かれ気味となった。しかし、直線では自慢のしぶとさを発揮。何とか食らい付くと、併入でフィニッシュした。態勢は整っている。