警視庁保安課は10月29日、東京都台東区・吉原地区のソープランド8店で売春させたとして、運営会社「サン・ワールドホールディングス」(台東区)社長・小松崎伸男容疑者(67=同区西浅草)と社員の男ら計39人を売春防止法違反(売春場所提供業)容疑で逮捕。小松崎容疑者ら21人を送検した。
逮捕容疑は27日、同区千束のソープランド「11チャンネル」で、複数の女性従業員が男性客に対して売春行為を行うと知りながら、個室を提供した疑い。小松崎容疑者は容疑を認めている。
ソープランドは売春行為が行われていることが分かっていても、警察は“暗黙の了解”で黙認していた“聖域”とみられていたが、いったい何が起きたのか。
吉原では都条例により新規の出店は認められておらず、既存の店舗のみ営業が許可されている。今回摘発を受けた8店は、それぞれ営業許可を取っていた。
ところが、09年5月にサン社が、それまで別々の法人が運営していた8店を一括管理し、「オレンジグループ」として営業を開始。小松崎容疑者らが売上金をサン社の口座に集め、各店従業員への給与などを支払っていた。風営法上、ソープランドの運営権を引き継ぐことはできないが、一括管理で事実上の運営権がサン社に移ったため、警視庁は無届け営業とみて捜査を進めていた。サン社からは届け出が出ていなかった。
サン社は635人の女性従業員を雇い、10年4月から2年半で約101億円を売り上げたとみられている。オレンジグループは女性従業員も若めで、時間帯によっては1万円台前半でも利用できる激安店として人気があったという。
折しも、石原慎太郎都知事が25日に辞職を表明した。石原都知事といえば、新宿・歌舞伎町の一掃に躍起になったこともあるなど、風俗には好意的ではない。辞意を示した直後の大型摘発とあって、最後の大仕事といえなくもない?
今回の大手の摘発でソープランド業者は、戦々恐々となっている。
(蔵元英二)