前哨戦の巴賞で最下位の11着に敗れ、単勝7番人気の低評価。が、鞍上の武幸騎手は叩かれた上積みを肌で感じていた。「雰囲気が全然違っていた。スタートから、すべてうまくいったし、すごくいい感じで走っていた」
逃げると思われたコスモテナシャスがレース前に放馬し、競走除外に。前半の1000m通過が1分3秒0という超スローになったが、後方集団のインでじっと我慢。勝負どころで外に出すと、直線は迷わず馬群の真ん中へ突っ込んだ。2着ロフティーエイムに1馬身差をつける完勝に、「手応えが良く、4角ではどこを割ろうかという感じ。うまく前があいてくれたし、今日は強いのひと言でした」と笑顔の武幸騎手。昨21日は兄・武豊騎手の史上最多勝達成で報道陣から質問攻めにあったが、北の大地で存在感を示した。
管理する田所秀師も感慨ひとしおの様子。「正直、今年は厳しいと思った。水曜の追い切りでもモタモタしていたから、土曜に前日追いをかけたんだが、あれで変わってくれた。馬が知っていたんだね」続けて、「よくここまで立ち直ってくれた。3連覇に挑戦するだけで満足と思っていたが、それ以上の結果を残してくれて本当に頭が下がる」と脱帽だ。
実は函館記念の後は、中1週でハンデ戦のみなみ北海道S(オープン 函館芝2600m)に向かう予定だったが、「すべて白紙に戻します」と師。次走は未定だが、「洋芝が合っている」ことから、札幌記念(JpnII 札幌芝2000m 8月19日)が有力視される。
昨年のサマー2000シリーズはスウィフトカレントと同点だったが、上位着順の差で優勝を逃しただけに、「ぜひリベンジしたいね」とトレーナーは前向きに話していた。復活したサマーホースから目が離せない。