あの時の感触に似ている。一流馬だけが持つ独特の雰囲気だ。2003年の小倉2歳Sを勝った後、05年のフェブラリーSも制したメイショウボーラー。あの名馬とそん色ない。いやそれ以上のオーラをファイティングピサは発している。
「仕上がり途上の新馬戦が、あの勝ちっぷり。能力は相当ある」。白井助手の言葉も、自然と熱を帯びる。
デビュー戦は太め残りに加え、道中も物見がキツかった。そんな状況で素早く2番手につけると、2着以下に0秒6差をつける大楽勝だった。同じ小倉でデビュー勝ちしたメイショウボーラーの0秒4差を上回る着差とともに、強烈な印象を刻み込んだ。
「スタートが速く、終いまでしっかりと伸びてくれた。武豊ジョッキーも最後まで余裕があったと言ってくれたしね。メンバー自体も悪くなかったから」
このレースの2、5着馬は次のレースで未勝利V。今夏の小倉開催でも屈指の強力メンバーを打ち破った。
血統背景もクラシックを意識できるスケールを持っている。母ブルーリッジリバーは02年の桜花賞で2着に善戦した。母譲りの軽快なスピードに加え、父のクロフネからは雄大なフットワークとパワーを受け継いだ。
「前走後もテンションが上がらず、いい雰囲気にある。使った上積みはもちろんあるし、何より素質が違う。今年はメンバーも大したことがないので、必ずいいレースをしてくれると思う」
まずは重賞V。その先にはメイショウボーラーの背中が見えている。