400キロに満たない小柄なヒロインが新潟2歳王者の座に就こうとしている。前哨戦のダリア賞を快勝したプリンセスメモリーがV3をかけて、重賞にチャレンジする。
前2戦とも馬体重は390キロだったが、スケールはメガサイズ。デビュー戦では新潟名物の直千競馬でラスト3F32秒6の末脚を発揮し、突き抜けた。走破タイムの55秒4は翌日の古馬500万と同タイムという優秀さ。さらに、前走は直線で狭い馬群の内を割って出て、一気に差し切った。「体は小さいが、ハートは大きい。いい根性をしているし、決め手も相当なものがある」と高橋義調教師。血統的にも父がエンドスウィープの後継種牡馬としてブレイク中のスウェプトオーヴァーボード、母リトルブレッシングはGIを3勝したデュランダル(スプリンターズS、マイルCS2勝)の妹と奥が深い。
前走後は疲れをきっちり取ってから、馬場入りを再開。ここまで順調に乗り込まれてきた。1週前の追い切りは美浦坂路で、田辺騎手を背に、馬なりで800メートル51秒3→37秒7→12秒9をマークした。
「中間は馬を落ち着かせるように、メニューを組んでやってきた。これが初時計だが、予定通りのケイコができたし、いい意味で変わりなくきている。輸送もあるし、あまりやりすぎると、なくなっちゃうからね。あとは直前にサラッとやれば」と師。思惑通りの仕上がりを見せる愛馬に目を細めていた。
ただ、デリケートな牝馬。しかも、体が体だけに指揮官の悩みはつきない。
「昨年のカツヨトワイニング(ファルコンS2着)も小さな馬で気を使ったが、またこの1年、同じ苦労をしなきゃならないね。馬体を減らさないようにしながら、賞金を加算して権利を取らなければならないから。両方を考えながら、うまくやらないと」
消耗を避けるためにも余計なレースは使わず、大目標の阪神JF、桜花賞へ。ここは必勝の意気込みでの参戦だ。