後藤や山里は前のコンビでボケをしていた。岩尾望やしずちゃんといった新しい相方のビジュアルが“ボケ”の芸人であったため、自ら身を引くことを決断。のちに後藤は“例えツッコミ”としてフィーチャーされ、山里に至っては“ツッコミのフレーズ”で観客の笑いを誘う新しい漫才のスタイルで、すぐさまスターダムにのし上がった。
一方、上田、若林、小峠はコンビで元々ボケをしていたが、ツッコミに転向。上田はデビュー当時こそボケだったが、すぐにツッコミへ。時間はかかったが、今や大物司会者となった。オードリーは春日俊彰のポンコツツッコミをうまくキャラに落とし込んだ漫才を作り、『M-1グランプリ2008』で準優勝。バイきんぐも小峠の強烈なツッコミと独特のフレーズが話題となって、『キングオブコント2012』で優勝を勝ち取った。
「元々ボケをやっていた芸人の強みは、番組でMCの立場にいながらプレイヤーとしても機能するという点です。もちろんツッコミ芸人がMCをしても面白いのですが、元々ボケをやっていた分、カンも鋭く、ボケの幅も広い。今、彼らが番組で重宝されているのは必然なのかもしれません」(エンタメライター)
ちなみに最近では、新たなスタイルのコントが若手の中でトレンドになっている。
「明確にボケ・ツッコミを決めていないコンビや、平場でボケることの多い方がツッコミ役に回り、“状況による戸惑い”や“設定自体”で笑いを生み出すコントが急増しています。『キングオブコント』決勝にも進出した、さらば青春の光、うしろシティ、ラブレターズ……。彼らのすべてのコントに当てはまるわけではないのですが、ネタによって役割が変わることがあります」(同上)
漫才やコントはいわば名刺代わり。どちらも出来ることが分かれば、番組でも使いやすく、スタッフとしても安心だろう。“元ボケ”のツッコミ芸人の活躍に期待したい。