都内某所にある道場に着くと、入り口で練習生2人と猫の「うし君」が迎えてくれた。ここJWP道場は2002年4月に完成し、今年で7年目。試合がない日はだいたい12時から17時まで所属選手10人と練習生2人の総勢12人が練習を行っている。また、撮影会や道場マッチなども行われ、ときにはオープンカフェのようなスペースになることもある。お客さんや地元の人との交流の場となっているのだ。
まずは、代表のコマンド・ボリショイ選手にあいさつし、準備運動と柔軟体操の指導を受ける。練習前後に必須の柔軟体操について「やらないとケガにつながるし、柔らかい方が動ける範囲が広くなる」とはボリショイ選手。
フムフムと聞いているうちに記者の周りを取り囲む選手たち。強制的に柔軟開始だ。蹴射斗選手が「息を吐きながらやらないと」とアドバイスしてくれた。「はぁ、はぁ」とあらぬ声を出しながら息を吐くと、力が抜けて少しラクに曲げられるようになった。もう5年も運動をしていないため、異様に体が硬い。「柔軟体操でギブアップ取れますね、アハハッ」と米山香織選手。
次に、受け身の基本を習う。「首を上げ、おへそを見ながら」がポイント。「これをやっとかないと無事に会社に戻れないな」と思った記者は、必死に何度も繰り返した。初めてのリングの感触を思う存分に味わう。
受け身が終わると、今度はブリッジ。体を曲げようにもメタボまっしぐらの重い体ではなかなか曲げられない。なんとか必死に曲げたところでなぜかハラのあたりに重みが…。の、乗ってる!? ギョエ〜ッ!? ボリショイ選手がオレの腹の上に乗ってるじゃねぇか。マイッタ!?
さてさて、キックの練習にも参加させてもらうことに。闘獣牙Leon選手のドロップキックでいきなり吹っ飛ばされた。タマんねぇよ、この痛さ。その後、ミットを構えて蹴射斗選手のキックも受けた。その威力はハンパじゃない。もう全身ズタボロ。どうなっちゃうの、オレ。
蹴射斗選手はキックボクシングのジムに通い、タイ人のコーチに指導を受けている。「まぁ今日は3割くらいかな。ジムでは、女子扱いされないんですよ、ハッハッハッ」と高笑いの同選手。「そりゃそうだ」と突っ込みを入れたくても腹に力が入らない。
ものの数分、キックを受けていると完全にヘロヘロに。すでにグロッギー寸前の記者を鬼のような選手たちは技の実験台にしていく。蹴射斗選手はサソリ固め、阿部幸江選手はコブラツイスト、米山選手は鎌固めと技のオンパレード…。ムゴイ、ムゴ過ぎる。訴えてやる。「これでケガしたら労災はおりるのだろうか…」と真剣に考える。
そして、6日に復帰したばかりのJWP認定無差別級王者・春山香代子選手には逆水平チョップを食らった。安易に考えていたがホントに痛い。チョップの受け手の気持ちが少し分かった気がした。胸にはくっきりと手形が残っているのに、「半分も力を入れてない。本気でやったら…」と涼しい顔で話す春山選手の言葉に、マジ凍りついた。チャンピオン恐るべし。ゴメンナサイ、ナメてました。ちなみに本当の話だが、その後、胸の痛みが3日間続いた。胸骨が折れなくて良かった。
ここで体験入門終了。と思って気を抜いていたら、蹴射斗選手に着替えをのぞかれた揚げ句、さらには「おいにー(におい)的には大丈夫でした」と逆セクハラ発言も。もう踏んだり蹴ったり。
さすがに1日道場にいるとぐったり。やっとの思いで帰宅の途についた時には、ナゼか頬に涙がつたってきて…。それにしても、やっぱりプロレスラーはスゲェ!
◎突撃後記
女子プロレスラーは強い!
1日のほんの少しの時間だったが、レスラーが強いのはやっぱり道場での練習のたまものと、今回の取材で実感した。ボリショイ選手が言っていたように、プロレスラーにとっては「道場がすべて」。だからこそ、道場を持たない団体がある中で、必死に道場の維持・運営をしているという。そのために道場マッチも開催するようになった。
ビールが大好きで、飲んだ後はラーメンとメタボまっしぐらな記者だが、今回の取材でダイエットを決意。10キロ減に成功したあかつきにはまた道場の門を叩きたいと思っている。
ちなみに、コマンドボリショイ20周年記念大会「世界仮面武道会」(9・22板橋グリーンホール)では記者もマスクをかぶって取材する予定。その時こそ、本日の汚名返上を…。今から楽しみだ。