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うちなんちゅやまとんちゅ〜沖縄身の丈見聞記〜(8)「一家に一柱、神様のネットワーク -沖縄の火の神(ヒヌカン)-」

 本土から沖縄にやってきた筆者が、歴史や事件の舞台を追いかけ、沖縄の独自文化や日々のカルチャーショックのつれづれを綴っていく『沖縄身の丈見聞記』。
 沖縄は本土と離れているせいか、独特の風習が数多くあります。今回は、中でもうちなーにとって身近なものの一つ『火の神(ヒヌカン)』をご紹介します。
 画像は、今帰仁城跡に今も残る『火の神』。城の敷地内に造られているため、ほこらのような形をしています。さすが、立派ですね。ちなみに、この『火の神』は今もお祀りされています。

 本記事の第5回、「正月は旧暦で」http://npn.co.jp/article/detail/21826991/でもちょっと触れましたが、『火の神』はざっくりと説明すれば、本土の『かまど神』に近いものです。全てを燃やし、灰に帰す性質から、火および竈や炉の神は不浄や災難を取り除き、家内安全をもたらす神として崇められてきました。仏教では『三宝荒神』とも呼ばれ、信仰を得ています。
 この『火の神』も、昔は竈の3つの自然石を御神体として台所に祀られていました。ガスが引かれ、電化も進む現代でも『火の神』はその形を変え、台所の一角に祀られています。中心に香炉を据え、塩を盛る高坏・水を入れる湯飲み・お酒の入った杯・花瓶を備え、さながら小さな祭壇のようになったその『場所』に、その家の『火の神』が住まうのです。
 『火の神』を祀るのは、一家の主婦の仕事でもありました。『火の神』の管理をし、家内安全、無病息災、厄払い、家族の吉事などを御願(※うがん=お祈り)することで家族を神様達に守ってもらうのです。

 日本には、八百万の神に例えられるように、『あちこちに神様仏様がいる』という宗教観を昔から持ち合わせています。沖縄では特にこの宗教観が非常にプリミティブな形で残っており、土地神や神話の神様など、多くの神様が人間を見守っていると考えています。
 で、『火の神』は家を守るという性質上、生活もとい家族に密着した神様であるとされており、日々の暮らしに関する事を御願することで、その土地の神様等の他の神様にも願いを伝えてくれるのです。
 そのため、『火の神』は自然万物に対する感謝の意を捧げるための神、とも言えるでしょう。

 うちなーの人の中には、子供の頃「人に悪口を言ってはいけない、神様が聞いているから。特に台所には、神様が住んでいるからね」とおばあに注意された事がある人もいるそうです。
 信仰とともに、人としてのあり方を教えてくれる神様、それが沖縄の『火の神』なのです。

※参考URL
照屋漆器店
http://www.teruyashikki.com/page/category/others
沖縄コンパクト事典 火の神 (ひのかみ)2003年3月1日
『最新版 沖縄コンパクト事典』2003年3月・琉球新報社発行、2,415円(税込)
http://ryukyushimpo.jp/modules/news/article.php?storyid=42759

(黒松三太夫 山口敏太郎事務所)

参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou/

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