氏はレスリング系の組み技のみが好きだったようにいわれているが、実はボクシングも大好きだった。プロレスの基礎である極め技の達人というイメージだが、本当の弟子達は知っている、最も凄いのがケンカだったということを。実はパンチも得意だったのだ。
極め技やレスリングを教えられても、弟子なら影響されないはずはない。さすがに氏の時代には実用的なキックそのものがなく、蹴りは嫌いだったが、打撃と実戦と精神面の話は何度も聞かされた。
私は言うまでもなく、藤原喜明も実はパンチとキックの心得がある。私達は基礎である極め技と、実戦とは何かを魂に叩き込まれていたのだ。それだけではない。最も重要なのは氏によって人生の本格派を教えられたことだ。
服装、食事、態度、思想とあらゆる面に影響されている。それは騎士道にも通じるものであったのだと今では思っている。
舌を出したTシャツを着て怒られたり、ソバをすすって殴られたり、人との接し方、人生とはこうあるべきまでを教えられた。おかげで誰と接しても、何ら退くことのない対応とジェントルができる。
レスラーならこうあるべきという所を、サムライならこうあるべきだと教えられたと言えばよく分かるだろう。私が武士道ブームが始まるずっと前から、武士道を唱えているのはこの影響もある。
また、氏は宮本武蔵が好きだった。日本が好きだった。不良や世の中の間違った行為も許さなかったし、実際に注意されたり投げ飛ばされた者は何人もいる。