横浜の球団側としては、田代監督代行を来季も続投させたいのが本音だ。2軍監督として若手育成に取り組んできたのだから、そのまま1軍で手腕を発揮してくれれば、万々歳だし、人望もある。田代監督代行の恩師に当たる関根潤三氏(元大洋監督)はこう言い切る。「キャンプをやっていないんだから、田代には全く責任はないよ。途中から監督をやらせる方の責任でしょう。キャンプをやって初めて責任うんぬんになる」
今季の不成績の責任はあくまで前任の大矢明彦監督にあり、田代監督代行の手腕を問うなら、キャンプから指揮を執らせるべきだという来季続投論者だ。
問題は、シーズンが終わったときの成績と内容だろう。最下位は仕方なくても、若手選手の台頭などファンが来季に期待できるものが残せるかどうかだ。
田代監督代行には「もともと2軍監督で若い選手を育てる方が向いている。2軍監督が天職だ」という意向があるから、2軍監督へ戻すという選択肢もある。現時点ではその可能性が高い。
田代監督代行の続投が消えれば、OBの佐々木氏が本命に浮上してくる。“ハマの大魔神”から“シアトルのダイマジン”として、メジャーのシアトル・マリナーズで大活躍。その後、横浜復帰に際して、親会社のTBSが将来の監督候補含みで破格の待遇で迎え入れている。
3年間、総額18億円という異例の契約条件に球界関係者は驚きを隠せなかった。「力が衰えている佐々木に何でそんな大金を出すのだろう」と。
しかし、TBS側には、現役を辞めても将来の監督候補として囲う意味があっての大金投資だった。実は崩壊した第2次大矢政権が誕生する時にも、佐々木監督案は検討されたが、時期尚早として見送られている。だが、機は熟したと、現在は佐々木氏本人も意欲を示している。
7月中旬に北海道苫小牧で開かれた競走馬のセリに参加。エスアール・コーポレーション代表として優良馬を4頭せり落としたが、マスコミに騒がれることを嫌った。
「今、僕はすごく大事な時期なんで、あんまり新聞に大きく載りたくないんですよ。『佐々木は馬ばかり買って何をやっているんだ』って思われるから」という理由からだ。「大事な時期」とは、横浜監督として球界復帰に関しての事以外は考えられない。「佐々木が来季横浜監督の本命なのは間違いない」とテレビ局関係者が断言する。
41歳の佐々木氏が横浜監督就任となれば、同期のKKコンビ、清原和博氏、桑田真澄氏の監督としての現場復帰にも大きく影響してくるだろう。日本球界の監督の世代交代が一気に加速することが予想されるからだ。
現在の12球団監督の最年少は、昨年日本一になり、正力松太郎賞を受賞した44歳の西武・渡辺久信監督。さらに46歳の広島・ブラウン監督、47歳のソフトバンク・秋山幸二監督と続く。佐々木氏が12球団最年少監督になるかどうかも注目されることになる。
これに対し、12球団最高齢監督で、今季限りで楽天を去る74歳の野村克也監督が、一時期、来季横浜監督の最有力候補視されたこともあるが、現時点では9割方消えたといえる。
前出のテレビ局関係者がその舞台裏を明かす。「ノムさんにはサッチー(沙知代夫人)、団野村、克則(楽天コーチ)と、もれなく野村ファミリーが付いてくるからね。余計な金がかかる。お金のないTBSには無理だよ」と。
テレビ局が大喜びで放送している野村語録を考えれば、TBSが親会社の横浜監督は適材適所かと思われた。が、結局はお金のかかる野村ファミリーには手が出せないとなったわけだ。
「ハッキリ言って、74歳の野村監督はボケ始めてきている。もう監督は無理だ」と厳しい指摘をする球界OBがいる。監督業にも定年はあるのだろう。
来季の横浜監督はどうやら佐々木氏でほぼ決まりとなりそうである。