まず、進学塾の廊下の入口に祭壇のようなものが作られた(写真参照)。
私を含めたその場にいるスタッフ全員に、住職より御札が渡され、両手に粉末状になっているお香を塗り込むように言われる。
そして、般若心経などが書かれている小さい経本がそれぞれに渡された。
本来なら儀式の最中はお香を焚き、塩や酒を撒くという。
しかし、生徒に儀式が行なわれたことを知られるのはまずいので、お香を焚かずに、雑居ビルの一室であるため、塩や酒を撒くこともなしで進められた。
儀式はまず、ほら貝を吹くことから始まった。室内ということもあり、もの凄い音が響き渡る。
その音の響きは強烈で、何もわからない私でも除霊効果がありそうな気にさせられる。
30分ほど続いた儀式の最中では、刀で空を切ったり、矢のない弓を撃ったりする場面もあった。
私は儀式の最中に何か異変が起きぬかと、いたるところに視線を送っていたが、残念ながら何も見ることはできなかった。
そのあと、施設内の生徒からは見えないところにお札を数枚張り、除霊の儀式は終了した。
今回の除霊の効果のほどは、正直なところ、私には分からない。
それ以前に、その進学塾で起こっている怪異現象が、本当に霊によるものなのかも証明する術はない。
建物の立地条件などにより、物理的になんらかの悪影響が起こり、それを敏感に察してしまう人間が、幻覚のようなものを見たり感じたりしただけなのかもしれない。
『幽霊の正体見たり枯れ尾花』という言葉もある。
しかし、このような儀式が実際に行なわれたのも事実である。
当日、塾講師の方から訊いた話によると、ほとんど同じ時期に全ての教室で設置した進学塾の看板が、除霊を行なった施設だけ裏が真っ黒になっているというので、私も見させてもらったのだが、確かに異様な汚れ具合であった。
そして私も、確かにその場所では『気持ちの悪さ』を感じた。
もしも本当に彷徨える霊たちがその場にいたのならば、成仏できていればよいのだが。
なお、今回取材に行った進学塾の名前や場所、除霊をした住職の宗派や名前などは一切公開できないため、表現が不足している描写があることに関してはお詫びいたします。
(「実話怪談記者」へみ 山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou/