この心霊研究家、立川菊花氏が言う(コメントはすべて立川氏)。
「日本海は今から230万年から始まった地殻変動で、湖から海域へと形を変えていったといわれています。一方の琵琶湖は世界の3大古代湖として400万年前にはほぼその形を形成していました」
つまり、琵琶湖は日本海より先に琵琶湖が存在していたわけだ。大陸の端にある巨大な湖のすぐそばに、まるでミニチュア版のように形状の酷似した湖が存在した…その事実だけでも、ミステリアスではないか。
では琵琶湖と「日本海湖」が酷似していたとして、その事実が指し示す意味は何なか。
「これだけ巨大な水源です。その周りには多くの生命が集落を作っていたはずです。当然、人類の祖先もそこで文明の産声を上げたと推測できます。そして、湖がもたらす恵みに対しなんらかの信仰が生まれていたのではないか。その湖が地殻変動に伴う地震と共に淡水湖としての機能を失ってゆく…信仰の崩壊の危機とも言え、日本列島側の集落は信仰の対象を琵琶湖に変えたのではないでしょうか。『日本海湖』に宿る神々を琵琶湖に封じ込めるというような宗教儀式などが盛んに行われたと思います」
わが国の文明の出発が琵琶湖にあることも示唆する説だが、どうやらそれは推論に留まらないようだ。
「実は琵琶湖の湖底に遺跡が確認されていますし、湖周辺には多くの古墳群が確認されている。これは、琵琶湖周辺の集落が集散を繰り返しながら統治システムを整える過程で、古代宗教が機能していた証拠です」
琵琶湖は、ここでしか確認されていない固有種が多くある。生態系に影響を及ぼす生物の流入がなかったのは、聖域としての神格化から手厚く保護されたのではないかと、立川氏は推理している。
古代人の信仰に多きな影響を与えたのは、琵琶湖が単に大きな水源だからではなく、はるか太古の時代に姿を消した巨大な湖のミニチュア版として存在したからなのかもしれない。