本多氏の教え子である大阪NSC9期生の岡村。そもそもナインティナインは矢部浩之がボケで岡村がツッコミをしていた。しかし、漫才の授業中、ネタを見た本多氏はすぐさま「君らボケとツッコミ逆やで」と進言したという。そこから、ナイナイはメキメキと頭角を現し、NSC在学中からスターの道へと進んでいった。
「矢部が高校時代の先輩である岡村をお笑いの世界へ誘った手前、“自分がボケをする”と言ったそうです。しかし、本多氏はその違和感を一発で見抜いた。それだけの恩があるにも関わらず、2人は授業料を払わずNSCをクビになっているんですけどね(笑)」(芸能ライター)
その後、雨上がり決死隊やチュパチャップス(宮川大輔、星田英利 ※現在は解散)らと『吉本印天然素材』を結成し、人気を獲得していく。しかし、お笑い芸人にも関わらず、ステージでは、ダンスを強要され、女性客からは黄色い声援が飛んでいた。後に岡村は、同ユニットのインタビューで「とにかく『ワーキャー』がね……」と苦言。もともとコンビとしての仕事を中心にしたい意向もあり、『吉本印〜』は3年ほどで脱退した。
また、ナイナイは『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ)の前身番組『とぶくすり』でのブレークを機に本格的に東京へ進出したのだが、その他のレギュラー番組でも自ら前説を志願するなど、ほぼ寝ていない生活が続く。さらに、慣れないホテル暮らしということもあり、ストレスがピークに。岡村はホテルの廊下を往復ダッシュし、矢部は楽屋にあった犬のぬいぐるみに話しかけるという奇行を起こしていた。
こうしてすぐにブレークしたナイナイ。売れない芸人にとっては羨ましい限りであろうが、当の2人は精神的にも追い詰められていたのだ。そんな2人だが、実は一度だけ解散危機があった。
「NSCを辞め、仕事がまったくない頃、岡村は矢部をファミレスに呼び出し“この世界を辞める”と伝えたことがあります。矢部が“このまま辞めたら負け犬ですよ”と説得して引き止め、何とか思いとどまったようです」(同上)
彼らがデビューして28年。順風満帆に来たと思われがちだが、紆余曲折があり、今の地位があるのだ。この対談本ではどんなことが語られるのか? 楽しみに待ちたい。