お笑い芸人や役者は下積み時代、生きるための生命線となるのはバイトだ。その時代の経験を元にして、あるいは糧やネタにしてのし上がるのが、芸能という生業に就いた者の宿命だ。現在大人気のブルゾンもしかり。彼女が売れる前、わずかな期間ながらも働いていたのは「せんBar」だ。所属するワタナベエンターテインメントの先輩、クールポコ。・せんちゃんがオーナーを務める雰囲気抜群のカラオケバーである。
同店には、せんちゃんの相方・小野まじめも不定期で出勤。コンビで既婚者のため、テレビという表舞台から姿を消した今は食うことに必死なのだ。この店にはブルゾン同様、ナベプロの食えない芸人が入れ代わり立ち代わりで、バーカウンターに立つ。アンガールズ・田中卓志をマネて、ものまね特番の常連となりつつあるデルピエロ・山口治樹も、そんなひとりだ。
ここ数年におけるナベプロの急伸はめざましく、コンスタントに一発屋予備軍といえる“旬芸人”を輩出している。先のブルゾンをはじめ、サンシャイン池崎、平野ノラ、「あったかぁいんだから〜」のクマムシ、にゃんこスター、完熟フレッシュ。バラエエィ番組を彩った錚々たるキーマンが、こんなにいるのだ。そんなナベプロ芸人のトップにいるのは、ネプチューン。名倉潤は、東京・中目黒で「ステーキなぐら」をプロデュースしている。
「経営しているのは、お兄さんである良知さん。比較的お安めでステーキコースを楽しめるとあって、評判は悪くないです。とはいえ、激戦区でおしゃれスポットの“なかめ”で生き残るのは至難の業。オリジナルプリンやドレッシング、ロールケーキの通販などにも力を入れています。やはり、これまでに多くのナベプロ芸人がバイトをしてきました」(芸能系雑誌のライタ―)。
よしもと芸人でも、たむらけんじの焼肉屋、千原せいじの居酒屋に行けば必ず芸人に会えたほど、バイト率は高かった。
先輩は食えない後輩のために、芸事以外で学べる場を与え、バイトでも自活を促す。この温情は、今も昔も変わらないのだ。