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【背筋も凍る!女の事件簿】由緒正しい寺が火事により消失! 犯人女性の驚くべき動機とは?

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 昭和を代表する作家・三島由紀夫の小説『金閣寺』。これは京都府にある鹿苑寺(通称・金閣寺)において発生した実在の放火事件(1950年)を元にした小説で、犯人は同寺の僧侶見習いをしていた21歳の大学生であった。このニュースは当時、日本だけではなく、世界でも報じられ大きな衝撃を与えた。

 さて、昭和の事件史において、神社仏閣の放火事件はいくつかあるが、今回はそれらの中でも珍しい、女性による放火事件をご紹介しよう。

 1962年(昭和37年)7月25日午前2時ごろ、京都市にある壬生寺(みぶでら)が全焼する事件が発生した。

991年(正暦2年)に創建されたこの寺は、古くから地元の人間に愛され、幕末には、かの有名な新撰組が京都における本拠地として、隊士が訓練を行っていた聖地として知られている。

 深夜に壬生寺を襲った炎は本堂を丸焼けにし、鎌倉時代の作とされる「壬生地蔵」ら6体が消失してしまうなど甚大な被害を出した。

 犯人は最初、「この寺に恨みを持つ人物の仕業」と見て、警察が調査を行っていたが、寺の職員たちには心当たりがなく、捜査は難航すると思われた。

 ところが、本事件は迷宮入りせず、あっさり解決してしまった。事故の直後、現場付近をうろついていた27歳の女が、「自分が放火の犯人である」と警察に自供したのだ。

 この女は放火当時、家がなく壬生寺の境内に住み付いていた(早い話が野宿していた)浮浪者で、放火の理由に対して、「この寺の職員に腹が立っていたため」と容疑を認めたという。

 女は1か月くらい前まで京都府内の飲食店に勤めていたが、勤めが嫌になり退職。その後、新しい職は探さず、ついには住む場所もなくなり、いつしか壬生寺に住み付いた。しかし、若い女性という事もあり、慣れないホームレス生活はうまくいかなかったようで、彼女は困窮からとうとう壬生寺の賽銭箱に手を突っ込み、賽銭泥棒をしてしまった。

 この一部始終を見ていたのが、この寺に勤める80代の管理人で、管理人は彼女を強く叱責した。いったんは反省したものの、夜になってくると夏の暑さもあり徐々に壬生寺に対する恨みが沸いてきた。彼女は「こんな寺など燃えてしまえばいい」と怒り、ついには本堂に火をつけてしまったのだ。京都府警は彼女を非現住建造物等放火の罪で逮捕した。

 当時の新聞には「賽銭泥棒を叱られて…放火だった壬生寺の火災」とともに、うなだれた表情の犯人の女の顔写真が掲載されている。

 現在、壬生寺の本堂は近隣住民の寄付もあり無事に再建されており、消失してしまった壬生地蔵は律宗の総本山・唐招提寺から遷されている。

 現在、壬生寺には多くの観光客も訪れるが、放火事件の犯人が若い女性であったことは、あまり知られていないようだ。

文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)

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